原子力規制委員会の事務局を務める原子力規制庁の黒木慶英・原子力地域安全総括官が22日、県庁を訪れ、泉田裕彦知事と面談した。泉田知事は同委のメンバーに自治体行政が分かる人がいないため自治体と連携ができていないことや、住民と向き合う姿勢が見えないとして問題視し、矢継ぎ早に質問した。
黒木総括官は災害時の住民の安全確保対策を担当。各地の原発立地自治体の代表者らと面談をしている一環で、県を訪れた。
泉田知事は先月発表された放射性物質の拡散予測が、自治体に対して事前説明がほとんどなかったことなどを挙げ、同委が国民と向き合う体制が整っておらず、自治体行政が分かるメンバーを入れることを主張した。
また、泉田知事は長岡市の一部地域住民が今月、原発事故時に服用すると甲状腺被ばくを防ぐ効果がある安定ヨウ素剤を希望する住民に配布したことに対する同委の姿勢について指摘。「配布については検討しているので時間をほしい」とする黒木総括官に対し、泉田知事は「地震は起きている。配っておかないと(事故があった時に)間に合うのか。(自主配布に対し)『配るな』と言うのなら住民を信頼していないといことでは。使い方は配布と同時に検討できる」と不満を示した。
このほか原発から5キロ圏内の現実的な避難方法の検討や、10月29日に同委を訪れて渡した質問書への迅速な回答を求めた。
黒木総括官は面談後、取材に対し「知事の言うことは極めてなるほどと思う。防災対策は地域とコミュニケーションを取りながら精度を上げる観点で取り組む」とした。
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