厚生科学審議会科学技術部会の「再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会」は16日の会合で、再生医療と称して提供されている、幹細胞などを用いた自由診療について議論し、規制を設けるべきとの考えで一致した。ただ、規制の具体的な方法は決まらなかった。
同日の会合で厚生労働省は、幹細胞を用いた自由診療のインターネット広告を例示。「世界一安全」「無限の可能性を秘めた医療」「糖尿病、脳梗塞後遺症など、さまざまな病態に適応」などの文言があったが、大和雅之委員(東京女子医科大教授)は、いずれの診療にも有効性を示すエビデンスがない可能性があると指摘した。
伊藤たてお委員(日本難病・疾病団体協議会代表)は、再生医療への患者側の期待が大きい中、いずれ大きな医療事故につながる可能性があるとの懸念を示し、強い権限を持つ監視機関を設けるべきだと訴えた。位田隆一委員(同志社大大学院特別客員教授)は、再生医療と称する診療を規制するには、再生医療の基本的な法律を作って罰則を設ける必要があるが、それだけですべては抑え切れないとの考えを示した。
■櫻井副大臣「年明けには中間取りまとめを」
同日の会合の冒頭、櫻井充厚労副大臣があいさつし、再生医療の治験を進めたり、安全性を確保したりするための国のルール整備が遅れていると指摘した上で、「再生医療は国の再生の切り札だ。できれば年明けには中間取りまとめをいただきたい」と述べた。専門委は当初、来年夏までの意見の取りまとめを目指していたが、1月にも安全性確保のための問題点を提起するため、議論を加速させる。
http://news.goo.ne.jp/article/cabrain/life/medical/cabrain-38613.html