水産庁は6日、調査捕鯨で解体した鯨肉を13年以降、個人に通信販売したり、居酒屋など外食産業に直接販売する方針を決めた。学校給食への活用も拡大する。調査捕鯨した鯨の肉の販売はこれまで一部の取引業者に限られてきた。しかし、調査捕鯨事業の赤字が続いているため、鯨肉の販路を広げ、事業の収益改善を図る。
日本は87年、国際捕鯨委員会(IWC)の決定に基づき、商業捕鯨から撤退。代わりに水産庁所管の財団法人「日本鯨類研究所」(鯨研)が同年から南極海などで資源調査を目的に調査捕鯨を行っている。捕獲した鯨の肉は食用に販売することが認められている。しかし、供給量が少ないため、店頭価格が100グラム300~500円程度と「和牛の中級並み」(関係者)に高騰。一部の料亭などで料理として出されているものの、消費者の間では鯨肉離れが進んだ。
調査捕鯨には年間45億~50億円のコストがかかり、赤字が膨らんでいるため、鯨肉の販売を拡大することにした。具体的には、居酒屋など外食向けに直販するほか、高級商品はカタログ通販し、鯨肉になじみが深い中高年層らの需要掘り起こしを狙う。
また、現在、年間100トン程度にとどまる学校給食への活用は供給価格を下げて倍増させたい考えだ。
調査捕鯨した鯨肉の供給拡大で価格が下がれば、消費者には鯨料理が今より身近になる利点がある。ただ、環境保護団体は食用を「擬似商業捕鯨」と批判しており、波紋も呼びそうだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121107-00000013-mai-soci