季節の変わり目は体調を崩しがち。中国の薬膳の考え方を取り入れた料理は、食材の組み合わせで体の調子を整えるという。お薦めの2品を料理研究家のパン・ウェイさんに教わった。
「中国では、夏の間に肺に熱がたまり、そのままでいると秋に風邪を引きやすいと考えられています」とパンさん。今の時期、中国では体内の熱を除きやすいとされる白い野菜や果物を積極的に食べるそうだ。
揚げナスと豚肉ソテーのナシソース添えは、中身が白いナス、ナガイモ、ナシに、疲労回復にも効果がある豚肉を取り合わせた。
〈ナスは縦半分に切る。切り口に網状の切れ目を入れ、食べやすいよう、さらに大きな切れ目を2~3本入れる。180度の油でキツネ色になるまで揚げ、油をよく切る。ナガイモは皮をむいて千切りにし、酢水にさらす。豚肉は細い拍子木切りにしてフライパンに入れ、中~強火でいためる。途中で、紹興酒と、あれば粉状のタイムを少々振りかける〉
〈皿にナスを並べ、その上に豚肉をのせる。ナガイモ、角切りのナシを重ね、香菜、クコの実、菊の花を彩りよく飾る。最後に、材料を混ぜて作っておいたナシソースを添える〉
ナガイモとナシのしゃきっとした歯ごたえがアクセント。ナシソースは、材料のナシとテンメンジャンの甘みとの相性も良い。とろりとしたナスと豚肉にも合う。食べ応え十分で、元気が出そうだ。
次にカボチャと豚ミンチの茶わん蒸し。茶わん蒸しといっても、卵は使わない。「カボチャには、粘膜を強くする働きがあるとされ、のどにも良いですよ」とパンさん。最後に添える白キクラゲは、「白」の食材だ。
〈干しエビは100ccの水で戻し、みじん切りに。戻し汁はとっておく。ボウルに豚ひき肉と角切りのカボチャ、ショウガを入れてよく混ぜ、鶏ガラスープのもと、紹興酒、しょうゆ小さじ2杯、コショウ少々と干しエビを加えさらによく混ぜる。干しエビの戻し汁と水を合わせて約1カップ用意し、少しずつ加えて混ぜ、ゆるい肉だねを作る〉
〈肉だねを二つのおわんに8分目まで入れて、ギンナンをのせ、蒸気の上がった蒸し器で約10分間蒸す。水で戻した白キクラゲとカボチャの薄切りを上に置き、さらに10分蒸す。火を止めておわんを取り出し、香菜とクコの実を飾る〉
透明なスープが肉だねからしみ出してくると、ちょうど良い蒸し加減だ。紹興酒と干しエビの香りが立ち上る。ふるふるとした軟らかい食感、優しいのどごしで、スープとともに胃に温かく染みる。
「日本でも、秋にはナスやカボチャをよく食べますよね。季節の食材を選んで食べれば、それが養生につながることが多いのです」とパンさんは話している。
【材料=2人分】 |
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■揚げナスと豚肉ソテーのナシソース添え ナス2本/ナガイモ1.5cm/豚バラ肉ブロック160g/紹興酒大さじ1杯/ナシ(5mm角切り)同2杯/クコの実(水で戻す)、菊の花、香菜各少々 ナシソース(ナシのみじん切り大さじ4杯、ニンニクのみじん切り同2杯、テンメンジャン同3杯、しょうゆ同4杯、砂糖同3杯、黒酢小さじ2杯) |
■カボチャと豚ミンチの茶わん蒸し 干しエビ5g/豚ひき肉(脂が多いもの)100g/カボチャ(8mm角切り30g、3cmの薄切り2枚)/ショウガのみじん切り小さじ1/2杯/鶏ガラスープのもと同1杯/紹興酒大さじ2杯/ギンナン水煮4個/白キクラゲ1g/クコの実(水で戻す)、香菜各少々 |
(2012年10月17日 読売新聞)
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=66614