大阪、三重、福岡で、犯罪予告を書き込んだとして逮捕された男性が、いずれも釈放されました。
パソコンが「遠隔操作ウイルス」に感染してしまい、本人たちが知らないうちに”真犯人”によって遠隔操作されていた可能性が高まったからです。
自分のパソコンがウイルスに感染して、知らないうちに、いたずらや犯罪に使われてしまう――こんな事態は避けたいもの。
ウイルス対策会社の解析によると、今回問題になったウイルスは新たに開発された新種でしたが、他人のパソコンを乗っ取るタイプのウイルスは以前からありました。
「トロイの木馬」と呼ばれます。古代ギリシャの叙事詩に描かれた「トロイ戦争」で、ギリシャ軍が巨大な木馬の中に兵をひそませ、トロイの陣内に入り込んで奇襲を仕掛けたエピソードから名付けられました。
ウイルスをメールやダウンロードファイルなどに潜ませて他人のパソコンに送り込み、感染したパソコンを外部から不正に操作したり、パソコン内の情報を盗みだしたりします。今回のウイルスは「トロイの木馬」の中でも、「バックドア(裏口)型」というタイプで、感染したパソコンは裏口が開いた状態になって、所有者が気づかないうちに無断で悪意をもって遠隔操作されてしまっていました。
遠隔操作は、パソコンの基本ソフトであるOS(オペレーティングシステム)にも備わっています。初心者が自分のパソコンの設定方法や操作がわからないとき、詳しい人に教えてもらったり、設定を修正してもらったり、本来は便利な機能です。
しかし、遠隔操作ウイルスは、感染したパソコンを悪用して不正を働くのが目的です。今回のウイルスも”真犯人”の指示で掲示板に書き込んだのをはじめ、感染させたパソコンのキー入力やマウス操作の記録を盗んだり、ウイルスを削除したり、様々な操作が可能でした。
身に覚えがない書き込みのために逮捕までされてしまった今回のケース。これまでの調べでは、掲示板2ちゃんねるから無料ソフトをダウンロードした際にウイルスに感染したと見られています。
では、自分のパソコンが他人に乗っ取られないようにするには、どうしたらいいでしょうか?
ウイルス対策会社トレンドマイクロでは、次の注意を呼びかけています。
・総合セキュリティーソフトをインストールして最新の状態で利用する
・OSやアプリケーションの自動アップデート機能を有効にして常に最新の修正プログラムを利用する
・出所が怪しい無料ソフトをインストールしない
・見知らぬ送信元からのメールにあるURLを不用意にクリックしない
また、同じくウイルス対策会社シマンテックの感染予防策のうち、一般ユーザーは下記に注意が必要です。
・予期しない添付ファイルは開かない
・インターネットからダウンロードしたソフトウエアは、ウイルススキャンを実行して安全であることを確認してから実行する
ウイルス対策に詳しいITジャーナリスト三上洋さんによる心得は四つ。
1:ウイルス対策ソフトを入れる
ウイルス対策ソフトは、必ず毎年契約して、最新のパターンファイルを自動更新して利用すること。パソコンを買ったときについているウイルス対策ソフトはお試し版のことが多く、期限切れになっていないか、チェックを。
2:各種ソフトの自動更新を有効にして最新の状態で使う
ブラウザー、フラッシュプレーヤー、アドビリーダーなども含めて、古いと攻撃されやすい。
3:ツイッター、メール、フェイスブックのURLはクリックしない
知っている人から送られた場合でも、その人のパソコンがウイルスに感染している可能性がある。特に、英語のメッセージのURLはクリックしない。
4:ソフトやアプリは信頼できるサイトでダウンロードする
今回のウイルスは、2ちゃんねるから誘導されてダウンロードしたソフトについていた。必要なときは大手のダウンロードサイトや、アップストア、グーグルプレイストアなどの公式サイトから利用すること。
インターネットやメールを利用するには、信頼できるウイルス対策ソフトをインストールするのが大前提です。ただし、ウイルス対策ソフトがウイルスに対応するのは、ウイルスが見つかってからです。
不用意にURLをクリックしない、不用意にソフトをダウンロードしないよう、常に細心の注意を払うことを忘れないようにしたいものです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121016-00000301-yomonline-soci