柏崎市の蓮池薫さん(55)ら北朝鮮による拉致被害者5人が15日、帰国して10年を迎えた。県内3人の被害者はこの日を前にそれぞれ記者会見を開き、周囲の温かい配慮に支えられて落ち着いた生活を送っている様子を語ったが、進展しない拉致問題には神妙な面持ちを崩さなかった。同問題の突破口を開くきっかけとなることを願い、県は今年も、横田めぐみさん=拉致当時(13)=が新潟市で拉致された11月15日に合わせ同市内で県民集会を開催することを決めた。
県内では、めぐみさんのほか曽我ひとみさん(53)とともに拉致された母、ミヨシさん=同(46)=の安否が分からないだけでなく、北朝鮮に拉致された可能性が高いとみられる新潟市西蒲区出身で特定失踪(しっそう)者の大沢孝司さん=失踪当時(27)=らの消息もつかめていない。
拉致問題への理解と関心を高めてもらうため、県などが主催する県民集会にはめぐみさんの両親をはじめ、中山恭子元拉致問題担当相らが出席。拉致被害者の救出に向けて議論を交わし、県民一丸となって改めて早期解決を訴えるつもりだ。
北朝鮮による日本人拉致被害者の救出に取り組む支援団体「救う会新潟」も活動を強化している。13、14日には新潟市の中心市街地・古町で行われた飲食などを楽しむ恒例イベントに合わせて署名活動を行うなど県民集会に向け全力を挙げる。
イベント参加者に呼びかけを行った救う会新潟副会長の深谷成信・新潟市議は「拉致問題の解決を目的とした実効性のある経済制裁が必要だ。拉致被害者5人の帰国10年を機に、拉致問題を解決しなさいという国民の意思を示すために署名に協力してほしい」と話す。
蓮池薫さんは会見で「(解決には)政府が動くしかないが、それを国民の皆さんの世論の高さでサポートしていくことが力を与える」と同問題への理解が広まることに期待を寄せた。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/121016/ngt12101602070000-n1.htm