新潟大が、新潟県南魚沼市など魚沼地域の住民の生活習慣や環境と病気の関係性について調べる「コホート研究」を始めた。
魚沼地域は他の地域と比べて脳卒中の死亡率が高く、日々食べている食材や習慣が原因の可能性もあるという。長期にわたって地域の食生活、運動などの生活習慣と病気の発生状況を調べて、因果関係を研究するほか、効果的な予防策を見つける。
研究は、県の寄付講座「健康増進医学講座」の一環で、研究拠点として4月に同講座南魚沼分室を同市役所大和庁舎の一角に設置した。
今年度は南魚沼市六日町地域の住民が対象で、5月から始まった住民健診を受け、同意した約1100人から血液と尿を検体提供してもらい、同分室で冷凍保管している。10月頃から40歳以上の市民1万6000人に生活習慣などを調べるアンケートを配布し、年内回収を目指す。
アンケートの対象者は40歳以上で年齢に上限は設定しない。研究を担当する田中純太・特任准教授は「年をとっていても元気な人がいるので、その人の生活習慣なども調べたい」と話す。
来年度以降は南魚沼市の他地域や魚沼市でも検体提供やアンケート調査を順次実施する。寄付講座による調査研究期間は3年だが、調査から5年後に追跡調査を実施する方針。2015年以降は、同年開院予定の「魚沼基幹病院(仮称)」に併設される「魚沼臨床研究センター(仮称)」に分室を移して調査研究していく。
県内では、新潟大大学院医歯学総合研究科の中村和利教授らが昨年から村上・岩船圏域で生活習慣病のほかに骨折、認知症などの運動機能に関する調査研究をアンケート調査や血液検査で実施している。
田中特任准教授は「脳卒中が多い理由で主に考えられるのは食塩の過多だが、ほかにも何か地域に特有の原因があるはず」と話し、地域の特性をみつけることも主眼にあるという。高血圧や慢性腎臓病などの因果関係も調査するという。
◇コホート研究とは
地域住民など特定の集団を対象に、生活習慣や環境を調査し、後に発生する疾病との関係を長期間にわたって追跡調査する研究。国立がん研究センターは1990年から「多目的コホート研究」として全国的に実施している。
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