乳がん患者が手術痕を気にせず温泉を楽しめるようにしようと、全国約50の旅館や温泉施設が参加した「ピンクリボンのお宿ネットワーク」が今夏、発足した。患者に配慮した施設づくりを進めるとともに、患者側に施設の情報を提供する。発起人の人工乳房メーカー社長池山紀之さん(54)は「乳がん患者にも旅を諦めないでほしい」と話している。
池山さんは、乳がんで手術を受けた妹から「手術痕が気になり友達と旅行にも行けない」と言われ、人工乳房製作に携わってきた。
国立がん研究センターによると、乳がんになる女性は年5万人を超える。しかし池山さんによると、50万~300万円の費用がかかるため、切除手術を受けた人のうち人工乳房の装着や再建手術を受けるのは1割にすぎない。乳房のない姿を気にして本人が温泉に行かなくなるばかりか、「自分に気兼ねして、家族までもが行けなくなってしまった」と悩む人も多いという。池山さんは「洗い場に間仕切りがある温泉を知っていたら教えて」などの声を多く耳にし、同ネット設立を決めた。
ネットでは、間仕切りがあるなどの「お風呂情報」を宿の紹介とともに載せた冊子を作り、医療機関などを通じて配布。旅館経営者向けに講演会を行い、配慮ある施設づくりを呼び掛けている。
[時事通信社]
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