新潟・佐渡の往復約80キロを52人の選手が2日間でリレーする遠泳横断プロジェクトは22日午後6時半、最後の選手となったダウン症の中学3年、石山黎(れい)さん(14)=新潟市秋葉区=が先に到着した他の選手や友人らが出迎える中、関屋浜海水浴場(同市中央区)に笑顔でゴール。黎さんのおじでプロジェクトを主催した実行委員会の松川徹也会長(37)は「つらいこともあったが、約束通り選手全員、誰一人欠けることなく戻ってきた」と“完泳”を宣言。選手やサポーターらと無事成功を喜び合った。
黎さんは浜で待つ母、由美さん(42)を見つけると、胸に飛び込んだ。由美さんは涙を浮かべ、「お疲れさま、頑張ったね」と娘を抱きしめた。
出発前、「(みんなが)応援してくれるので頑張る」と話していた黎さんは祝福する友人らに囲まれると笑顔を見せ、「頑張りました。(海は)波が大きくて大変だった。(ゴールで)みんなに会えてうれしかった」と感激した様子だった。
黎さんに泳ぎを教え、本番でも一緒に泳いだ藤塚千里さん(42)によると、黎さんはリレーメンバーとして20回近く泳ぎ、「練習の成果を出し切った。課題だった船からの飛び込みも最後はきれいに決めた」。実行委の大野靖晃筆頭副会長(30)も「海練習ではなかなか力を出せなかったが、今回はどんどん泳ぎ、戦力になった」と驚く。
黎さんをサポートしようと、プロジェクトに参加した自閉症の中学3年、買場悠太さん(14)=同市秋葉区=も力強い泳ぎを披露。「最後まで頑張った。うれしい」と胸を張った。
プロジェクト実行委員会は平成21年暮れに松川さんらが発足。昨年7月に開催予定だったが、新潟・福島豪雨で断念。今回は関屋浜-佐渡市の赤亀風島なぎさ公園間約40キロを初日の往路に13・5時間、2日目の復路に15・5時間をかけ、横断に成功した。
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