[ カテゴリー:子育て, 社会 ]

<保育ママ>現状と課題 「新システム」で新たな核に

国会で審議されている政府の子育て新施策「子ども・子育て新システム」関連法案は、幼稚園と保育所の機能を一体化させた「総合こども園」の創設が大きな柱だが、もう一つのポイントが「地域型保育」。地域の実情に合わせて、小規模保育などさまざまな保育のかたちを柔軟に展開する仕組みだ。核となる「家庭的保育」(保育ママ)を中心に、現状と課題を探った。

◇少人数の乳幼児自宅で預かり 形態多様化、複数で運営も

「保育ママって知らなかったので、最初は不安だったけど、こぢんまりとした中で、安心して預けられて良かった」。今春から大阪市西区の「保育ママ まどか」に3歳の長女を預けているパート女性(32)は、ほほ笑んだ。

大阪市では4月1日現在、保育所待機児童が664人にのぼり、うち0~2歳児の低年齢児が8割超になる。中でも西区は待機児童の激戦区。この女性も子どもの保育所への入所を認められなかったが、保育ママの制度を知り、すぐに申し込んだ。おかげでパートの時間も少しずつ長くすることができて「家計も助かった」という。

保育ママとは、主に3歳未満の乳幼児を自宅などで預かる制度。以前から自治体が独自に行っていたが、00年から国が一部補助を始め、10年度からは国の制度として法的に位置づけられた。

保育ママとして子どもを預かることができるのは、保育士の資格がある人や、研修を受けて市町村の認定を受けた人だ。預かることができる人数は、保育ママ1人なら乳幼児3人まで、補助者を加え2人以上で預かるなら5人まで。保育室の広さは、3人までなら9・9平方メートル以上、3人を超えると1人につき3・3平方メートルを加算する――ことなどが国のガイドラインに定められている。

基本は保育ママが個人で少人数の子どもを預かるが、最近は形態も多様化。複数の保育ママがマンションなどを借りて行うものや、自治体から事業を委託された保育所やNPO法人が複数の保育者や補助者を雇い、10人程度の子どもを預かるものもある。

大阪市の場合、07年から、保育所に委託して家庭的保育を実施。現在、定員10人の施設が10カ所ある。「まどか」を運営するソフィア南堀江保育園(認可)の中畑剛史園長は「保育所がバックアップしているので、保護者の安心感につながっている」と語る。

全国での利用者数は09年度は約2600人だったが、11年度は約5700人に急増。国は14年度までに1万9000人という目標を掲げているが、認知度はまだ低く、伸び悩んでいる。

保育ママ制度の充実に向け、大阪市の橋下徹市長が打ち出したのが「保育ママバンク」。保育ママと補助者の希望者を市で登録し、両者のマッチングを行うという、全国初の制度だ。保育ママと補助者で乳幼児5人以下を預かり、250人分の受け皿をつくることを目指す。

市が5月に保育ママと補助者を募集したところ、定員(120人)の2倍近い235人の申し込みがあった。保育ママのなり手が少ない中で予想外の状況だったが、市は「雇用拡大にもなる」として、全員を受け入れる方針だ。

「子ども・子育て新システム」に盛り込まれた地域型保育は(1)定員5人以下の家庭的保育(2)グループ型の保育ママなど、定員6~19人の小規模保育――の二つが中心で、定員が20人以上になると「総合こども園」の指定を受ける。待機児童が多い都市部では乳幼児向けの家庭的保育を活用する一方、保育所の定員割れが目立つ地方都市などでは対象を小学生にも広げ、学童保育や地域子育て支援の拠点などとして展開する方針だ。だが、保育ママにも課題は少なくない。

大阪市の場合、保育ママに支払われる基本委託料は、子ども1人あたり月額約10万円。賃貸マンションなどで預かる場合は、定員5人で家賃月額8万円の補助が出る。

市が保育ママ希望者向けに開いた説明会では「定員いっぱいになれば採算がとれるかもしれないが、保育ママが補助者を自分で雇用してやり繰りするとなると、経営的に不安」という声が上がった。

多くの子どもを預かるためには、保育ママは自分で補助者を雇う必要があり、保育ママには補助者の管理業務など、保育以外の仕事が増える。多くの保育ママたちは「保育時間外の仕事が多く、休みが取りづらい」などの悩みを抱えている。

また家庭的保育は、裏を返せば「密室保育」となる可能性も否定できない。個人実施型の保育ママでつくるNPO法人「家庭的保育全国連絡協議会」は3月、保育ママ向けに独自の安全ガイドラインを作成し、SIDS(乳幼児突然死症候群)への対応などを細かくまとめた。鈴木道子理事長は「全国どこの保育ママでも安心して預けてもらえるよう、保育の質を高めたい」と話す。

さらに、現存する認可外保育施設と保育ママが、実際のところどう違うのか――という問題もある。認可外保育施設の経営者は「ほぼ同じような形で保育しているのに、私たちには全く補助がない。民業圧迫ではないか」と訴えている。

保育ママ制度に詳しい駒沢女子短大の福川須美教授は「従来の保育ママは自宅でボランティア的に事務作業などもこなしてきたが、マンションでのグループ型など形が多様化し、補助のない認可外保育施設との整合性などさまざまな問題が明らかになりつつある」と指摘。法案審議を通じて、利用者も新システムの成り行きに注意する必要がありそうだ。

http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20120605ddm013100017000c.html

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