■活動量計で児童の外遊び促進
動脈硬化などの原因となるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防の意識を幼少時から身に付けてもらおうと、さまざまな取り組みが始まっている。適切な知識なしに間違った生活習慣を繰り返すと、重度の肥満や小児糖尿病になる恐れがあるからだ。事例を紹介する。
◆本人も自覚
「備えよう 将来のメタボ予防」という講演を保護者向けに開いたのは、東京都清瀬市のきよせ幼稚園(中村清治園長)だ。日本看護協会看護研修学校(同市)で研修中のプロの看護師たちが講師を務め、保護者と一緒にポテトチップスの脂質やカロリーを測りながら栄養摂取状況を実感できる体験型講演を展開した。
同園では、別に市の管理栄養士らによる「食育出前講座」も開いた。中村三千代副園長は「親子で正しい食の知識を持ってもらうことが大切」と語る。
ゲーム機器遊びを外遊びに変えさせようとする動きも。ゲームに対抗する新ツールは活動量計だ。
山形県南西部の飯豊(いいで)町立第二小(高井耕次校長)の児童の肥満率は20%を超える。肥満児に活動量計を着けてボール運動をさせ、結果をグラフにして張り出した。「肥満の子供は同じ運動でも動きがゆっくりしていて、それが活動量計だと運動の強弱が計測できる。本人も自覚でき、肥満改善に役立った」(浅田千嘉子養護教諭)との成果を得られた。
◆花丸に大喜び
「肥満児はほとんどいないが、その予防に」と活動量計を導入しているのは東京都北区立稲田小(朝比奈芳美校長)だ。都の生活習慣実践研究校となり、昨年度、全児童を対象に1週間交代で着けさせている。
自動蓄積された活動データを教師がパソコンに入力するとグラフが出来上がる。「グラフには運動をよくした日には花丸が付くので子供は大喜び。休み時間に教室にとどまる子供はほとんどいなくなった」(室井和恵養護教諭)と、目に見える効果が出ている。こうした先進的な取り組みが評価され、両校は文部科学大臣賞などを受賞。両校が使用する活動量計はスズケン(名古屋市東区)の生活習慣記録機だという。
小児メタボに詳しい都立広尾病院の原光彦小児科部長は「肥満傾向児の出現率はこの10年ほぼ横ばいだが、重度の肥満の子供はむしろ増加し脂肪肝や糖尿病は増えている」として、早期からのメタボ予防の重要性を強調している。
■学校や自宅でチェック
学校や自宅で小児メタボの状況を簡単にチェックできる方法を原部長が提唱している。
まず、腹囲が80センチ以上、または腹囲身長比(腹囲を身長で割った数値)が0.5以上の児童で、(1)ほぼ毎日ジュース類を飲む、または運動を全くしない(2)血圧が高い(3)首周囲の皮膚が黒ずんでいる(黒色表皮症=肥満に伴う糖尿病で出やすい症状)-のうち、2項目以上が当てはまれば小児メタボの疑い、1項目ならメタボ予備軍の疑いがある。原部長が採血せずに判定するために考えた方法という。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/snk20120110086.html