寒くなると鍋物や湯豆腐など温かい料理が恋しくなる。昆布だしを使う機会も増えるが、だしをとった後の昆布を捨てる人は多いという。栄養豊富な昆布を無駄なく使う方法は。【下桐実雅子】
研究者や栄養士らでつくる「昆布の栄養機能研究会」(神戸市)が10月、週2回以上料理をする20~60代の主婦約500人に実施した調査では、だしをとった後の昆布について、約半数が「他の料理に使ったりそのまま食べる」と答えた。しかし「そのまま捨てている」も4割に上った。
矢澤一良・東京海洋大特任教授(機能性食品学)によると、昆布は低カロリーで、ビタミンAのほか、カリウムやカルシウムなどのミネラルをバランスよく含む“海の野菜”だ。「だしをとった後も、ぬめり成分のアルギン酸やフコイダンなどが残り、食物繊維が豊富。これらには血中のコレステロールを下げる働きもある」と話す。
日本昆布協会(大阪市)は、だしをとった後のさまざまな活用法をホームページ(http://www.kombu.or.jp/)などで紹介している。最も簡単なのは、細く切ってそのままサラダや煮物に加える方法。すぐ使わなければ、3センチ角の使いやすい大きさに切って冷凍し、たまってきたら調理してもよい。
同量のしょうゆ、酒、みりんに酢を少量加え、弱火でコトコト煮込む定番のつくだ煮もお勧めだ。煮込む際に酢を加えると軟らかく、まろやかになるという。水気をふき取ってみそに1週間程度つけ込むだけでも“ご飯のお供”になる。
医学博士で管理栄養士の本多京子さんは、一味違った「昆布チップ」や「シリアルバー」を考案した。昆布チップは、昆布(乾燥昆布10グラム分)に小麦粉(小さじ1)をまぶし、160度の油で2分程度揚げる。カレー粉と塩を混ぜたものを適量ふれば出来上がり。
シリアルバーは、大きめの耐熱ボウルにマシュマロ(50グラム)、バター(30グラム)を入れて電子レンジで2分(500ワット)加熱し、よくかき混ぜる。細かく刻んだ昆布(乾燥昆布5グラム分)とドライクランベリー(20グラム)、玄米フレーク(50グラム)を入れて四角に形を整える。冷蔵庫で約30分冷やし固め、1口大に切る。
本多さんは「おつまみにもなる昆布チップは、ハーブ塩や一味唐辛子などで味のバリエーションを楽しめる。シリアルバーはドライフルーツを組み合わせるので、食物繊維たっぷりで食べ応えがあります」と話す。
http://mainichi.jp/life/food/news/20111211ddm013100021000c.html