「第12回介護保険推進全国サミットinうすき」が10月27日、大分県臼杵市で開かれた。分科会「在宅ケアの革新~定期巡回・随時対応サービスの展開~」では、介護事業者や自治体関係者、学識経験者、厚生労働省の担当者が、来年4月から始まる定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間訪問サービス)の制度や報酬の在り方について意見交換。特に、導入が検討されている包括払い方式については、その必要性を強く訴える意見が出た一方、時期尚早とする意見もあった。
同分科会では、オブザーバーとして参加した厚労省老健局振興課の川又竹男課長が、24時間訪問サービスについて、社会保障審議会介護給付費分科会などで議論されている内容を報告。特に報酬については、包括払い方式の導入の是非が検討されているとした上で、その課題として、▽評価する範囲▽サービスが過少供給される可能性があることに対する対策-などを挙げた。
サービスの過少供給の可能性について、ジャパンケアサービスグループの対馬徳昭最高顧問は、「あり得ない話」と指摘。また、高齢者総合ケアセンターこぶし園(新潟県長岡市)の小山剛総合施設長も「在宅の場合は利用者だけでなく家族がいる場合が多い。過少供給を心配するより、むしろ過大供給を抑制する方が問題ではないか」と述べた。一方、大垣市(岐阜県)福祉部社会福祉課の篠田浩課長補佐は、過少供給・過大供給とも可能性としてはあり得るとした上で、「ケアマネジャーや保険者だけでなく、地域でも過少供給や過大供給をチェックできる仕組みがあればよい」と提案した。
包括払い方式そのものについては、「(導入が)絶対条件」(小山総合施設長)など、賛成する意見が多かったが、対馬最高顧問は「時期尚早。(2012年度の)次の、3年後の改定で導入してはどうか」と述べた。
また、産業医科大医学部の松田晋哉教授は、24時間訪問サービスでも利用者からの連絡を受けるオペレーターには「医療的な資質を持った人材を配置すべき」と述べた。
■「国庫負担割合の増加は、制度の脆弱化を招く」-権丈教授
分科会に先立ち、慶大商学部の権丈善一教授が、「いかにして社会保障を守るか」のテーマで基調講演した。権丈教授は、介護保険制度を維持する手法として、第2号保険料の引き上げと被保険者年齢を20歳まで引き下げることを提案。また、社会保障審議会介護保険部会などの議論で、保険料の公費負担割合を引き上げるべきとする意見が出ている点に触れ、「税収そのものは、どんどん減っている。この状況で国庫負担割合を大きくすれば、それだけ制度も脆弱になる」とし、その割合を安易に引き上げるべきではないと訴えた。
このほか、会場では認知症ケアや市民後見制度をテーマとした分科会も行われた。「第12回介護保険推進全国サミットinうすき」は28日も同市内で開かれ、12年度の介護報酬改定をテーマとしたパネルディスカッションや「映画作家」大林宣彦氏による特別講演などが行われる予定。
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