鳥インフルエンザなどの感染症による絶滅を防ぐため、トキを分散飼育する「長岡市トキ分散飼育センター」が31日、同市寺泊夏戸に完成し、完工式が行われた。電気柵を設置するなどして、テンなどの天敵からトキを守る対策を講じている。今秋にも、佐渡市の佐渡トキ保護センターからトキ4羽(2ペア)が移される。
センターは、鉄骨一部木造平屋建て約1200平方メートル。繁殖・飼育ケージ、ふ化室、作業室などがある。繁殖ケージは3区画に分けられている。
天敵対策として、繁殖・飼育ケージは基礎部分の深さは地中80センチ、地上120センチ。電気柵は上下2段に設置している。また、職員がいない夜中にテンなどが侵入した場合でも、トキの悲鳴の波長を確認して警備会社に通報するシステムもある。職員7人で運営する。総工費は約3億7000万円で、中越大震災復興基金から支出した。
この日は完工式の後、参加者らはセンター内を視察した。飼育ケージでは、近縁種のクロトキ2羽が放鳥された。秋にトキが移されてくるまで、試験的に飼育する。
視察した森民夫長岡市長は「中越地震(04年10月)では山や川が被害を受け、そこから復興した。トキが自然を大切にしたまちづくりの象徴として根付いてほしい」と話した。同センターの長部恵介センター長は「来春には一羽でも多くひなを誕生させて、佐渡の放鳥を支援したい」と語った。
一般見学はできないため、今年度中に隣接する寺泊夏戸センターでトキの様子を映したライブ映像を大画面で見られるようにする。
分散飼育は、既に多摩動物公園(東京都)、いしかわ動物園(石川県)、出雲市トキ分散飼育センター(島根県)の3カ所で行われている。
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