skymaxです。
10月20日の日経新聞に、日本の環境保護活動の紹介記事がありました。
日本の里山の豊かな自然環境を、世界的な環境保護のモデルとして提案しようという計画です。
世界最古の物語…ギルガメッシュ叙事詩には、ギルガメッシュ王と、友人のエンキドゥが、広大で神秘的なレバノン杉の大森林を切り開いていく様子が、描写されています。
ギルガメッシュたちは人間の幸せの為に、森の守護者フンババを倒し、人間の世界を実現してゆくのです。
しかしながら、現在のユーフラテス河の流域には当時をしのばせるような大森林はありません。
僅かに残された巨木と、遺跡から大量の木材の痕跡があるばかりです。
このように世界的には、人類は自然環境と戦い、克服しながら、文明を発展させてきました。
従って、日本の里山のような例は世界的には非常に稀な存在なのです。
ではどうして里山では人間と自然環境がバランス良く共存出来たのでしょうか?
私はその秘密は『入会林野』にあるのではないかと考えています。
『入会林野』(いりあいりんや)とは里の村人の共同利用出来る山林のことです。
近年、そのような山林が国有化、公有化されても、『入会林野権』は生き続け、里の村人たちに里山は利用されてきたのです。
村人たちが、生態系を熟知して環境保全に努めてきたからではありません。
村人が利用し続けることこそが、里山の保全につながるのです。
里山の自然環境は、『入会林野権』の継承によって、結果的に保全されてきたのです。
『自然を守ろう!』
それ自体に反対を唱える人はほとんどいないでしょう。
しかし、その自然環境を支えている人たちにどれだけ目が向けられているでしょうか?
自然環境を守るということは、『何もしない』ことではないのです。
積極的に里山にかかわることに他なりません。
ところが、小中学校の教科書から、林業が消えて久しく、ますます里山のブラックボックス化が進んでいます。
ところが、里山の自然環境だけが注目を集めているのです。
日本が世界に向けて、
『SATOYAMA』を発信する試みは、とても素晴らしいと思います。
しかしながら、あまりハードウェアに目を奪われ過ぎないような配慮が、絶対に必要だと思うのです。
里山を支える人々の暮らしを支えることこそが、里山の自然環境の保全につながるのです。