【人生(じんせい)の大病(たいびょう)は只(ただ)これ一(いつ)の傲(ごう)の字(じ)なり】…伝習録(でんしゅうろく)(王陽明(おうようめい))
(訳…人生における最大の病気は傲(ごう)の病(やま)いに罹(かか)ることである。人間誰しも生老病死は避けて通れませんが、この、【傲(ごう)】の病(傲慢の病)にだけは罹ってはいけないと言う戒めの言葉です)
~ 人間は一生のうちに色々な病気に罹(かか)るが、この【傲(ごう)】の病気にだけは決して罹(かか)ってはならない、という大切な戒めの言葉です。
お恥ずかしい話ですが、かって私は、この罹(かか)ってはならない大病に罹(かか)ってしまい、大変な不信をかった苦い経験があります。
自分では、謙虚な姿勢で頭を低く下げていたと思っていたのですが、低くしていたと思っていたのは自分ばかりで、他人から見れば、それは今流でいう『イナバウアー』だったのです。
今、思うに、汗顔の至りです。戒めの言葉として、心して行きたいと思います。
老子の骨子も、「謙虚であれ」ということで、謙虚は【傲】の反対です。
【和光同塵(わこうどうじん)】と言う言葉は、広く知られておりますが、原文は【その光(ひかり)を 和(やわ)らげ、その塵(ちり)に同(おな)じゅうす】です。いわゆる、能力を包み隠して世俗と同調すると言う意味で、厳しい現実を生き残る為の賢明な処世法だと主張しています。王陽明は、【傲】になったのでは、処世上のマイナスばかりでなく、むしろ、自分を進歩向上させる上でも大きなマイナスだと強調しています。
【菜根譚(さいこんたん)】という本にも同じような言葉があります。
【人(じん)主(しゅ)の患(わずら)いは傲(ごう)の一字(いちじ)にあり】と、ともに傲慢(ごうまん)の大病に罹(かか)ってはならない、と忠告しています。【傲】は、生きていく上で最大の障害だと、肝に銘じるべきでしょう。私は、自分への戒めとして、次のように簡略にして【座右(ざゆう)の銘(めい)】にしております。【人生(じんせい)の大病(たいびょう)は傲(ごう)の一字なり】と。 ~