笠井です。
先日、新潟の福祉総合会館におけるセミナーに参加するための新幹線にタッチの差で乗り遅れ、次の新幹線の待ち時間を潰そうと駅ビル構内のコーヒーショップに立ち寄った時のお話です。
Sサイズのホットコーヒーを頼み、カウンターへ。
20歳代後半と見える女性と、ビジネスマン風の男性が、3席空けて座っていたので、私はちょうどその真ん中に座った。
いつも通りゴソゴソとリュックの中からPCを引っ張り出し、メールのチェック、サイトの管理作業を始めた。
すると、右の女性のほうから鼻をすするような音が…。
そのくらいのことはよくあることだから、最初はまったく気に留めなかったのだが、その内、音はだんだん大きくなってきて、今度はティッシュで鼻をかみはじめた。
「風邪でもひいたのかな!?」
それでも気にせずPC操作を続けていたが、鼻をすする音はさらに大きく、そして小刻みになってきたので、この段階になってようやく具合いでも悪いのでは!?と気になり、その女性のほうをチラッと見てみた。
すると、その直後のことです。
女性は慌ただしくバックからタオルハンカチのような物を取り出し、顔を覆ったかと思ったら、ボロボロと泣き始めたのだった。
我慢していたものが込み上げてきたのか、肩を震わせて「ウッ、ウッ、ウッ」と嗚咽(おえつ)、どんどん泣き方はエスカレートする一方。
そっか、そういうことか…ここは駅だったものね。
きっと、、、遠方へ出発した恋人を見送ってきたばかりなんだ。
他人の泣いている姿など、あまりお目に掛かるものではない。
娘がガンセンター病院に入院していた頃は、子供の死期を悟り、不治の病に絶望するお母さん達の泣いている様子をたくさん見てきた。そんな時は、こちらもしんみりしてしまったものだったが、彼女のそれはまったく違う印象だ。
悲しみを堪え切れずに嗚咽している彼女には大変申し訳ないが、なんだか、ほのぼのとした温かいものが胸に溢れてきた。
私にもこんな時があったっけなー?どうだったかなー?
遠い記憶の中にも、もう思い出せるものはない。