学校において、電話(通話)を使った伝言式の連絡網はほとんど機能していないし、現在では、個人情報保護の観点から廃止してしまう学校も増えてきたということを、前回までにお話ししました。
これまでの話の中で浮き彫りになった点なども含め、電話連絡網に関する問題点を整理してみると...
●家に誰もいない場合は伝達が途切れてしまう。
●仕事が忙しくて、次の人に伝達するのをつい怠ってしまう
●そもそも固定電話を引いていない家庭が増えてきた。(マンション、アパートなど)
●固定電話を引いていない家庭が携帯電話を代わりに使用する際、個人情報のことが心配。
●一般連絡等の通常活用はされているが、緊急時に活用されていない。
●伝達が最後まで行き渡るのに時間が掛かり過ぎ。
●内容が正確に伝わらない。
さて、携帯メールを使った連絡網にした場合どうなるのか!?と言えば...
学校からの連絡は、受け手が家にいなくても受け取れる。
学校から各保護者へ一斉配信なので、受け手が次の人に伝達する必要はない。
学校側が一斉配信の操作を一回行うだけ、わずかな時間で伝達完了できる。
直接伝えるので、途中で内容が変わってしまう恐れもないし、もしも受け手がその周りの人に伝達することがあったとしても、メールの文字を見ながら伝達できるので正確。
など…「電話連絡網」の問題のほとんどを解決できることになる。
ただし、メール連絡網に問題がない訳ではない。
以下、今思いつく問題点を5つほど挙げてみた。
・メールアドレスの管理について
・メールアドレスの集め方
・メール文字数制限
・メールアドレス変更
・災害時の輻輳(ふくそう)
【メールアドレスの管理について】
メールアドレスを個人情報保護と絡めてどうこう言う人がいますが、そもそも個人情報とは「個人を識別できる情報」のことだから、そういう観点から言えば、メールアドレスは個人情報には当たらないことになる(ただし、アドレスに名前とか住所を使っている場合は、アドレスだけで個人を特定できてしまうことになるから、その場合は個人情報ということになる)わけでして...何でもかんでも「個人情報」云々と騒げばよいというものではない。
とは言え、たとえば、メールアドレスを集めた管理者が意図的にその情報を悪質に漏洩すれば、そのメールアドレスには忽ち迷惑メールが山ほど届くようになるかもしれない訳ですから、メールアドレスの管理には細心の注意が必要だ。
日頃からメール等を活用している皆さんは、「メール一斉配信なんて簡単…メールアドレス集めて、そこにBcc送信すればいいだけじゃん」と、簡単に思っておられるかもしれません!?
でも、ここには大きな落とし穴がある。
メールアドレスを集めた側のうっかりミスなどで情報が漏洩してしまう恐れがあるからです。
そこで、
◎「メールアドレスを集めた側の人たちも、メールアドレスを見ることができない」という仕組みにする必要が生じてきます。
どんなにメールアドレスを沢山集めても、集めた側が、それらメールアドレスを見ることができなければ、どのようなうっかりミスがあっても漏れないし、
さらに言えば、集めた人にたとえ悪意があっても、メールアドレスを見ることができないのだから「漏らしたくても漏らせない」ということになるのです。
ちなみに私たちは現在、いくつかの小学校にメール連絡網構築のお手伝いをしていますが、もちろんこの点を配慮した仕組みにしています。
学校の世界には教職員の転勤が付き物だから、たとえその時の先生がどれほど信頼のおける方で、漏えいの心配などまったくする必要のない方であったとしても、その先生がずっといる訳ではない。誤解を恐れずに言えば、次の先生はどんな方か分からないのだから、学校におけるメール連絡網には、特にこの仕組みが不可欠であると、私たちは考えています。
次回は、二番目の問題点
・メールアドレスの集め方
について、お話しさせていただきます。