skymaxです。
今月、久しぶりに日本人による新彗星が発見されました。
発見したのは、山形市在住のアマチュア天文家、板垣さんです。
私はただ一度しかお会いしたことはありませんが、とても強い影響を受けました。
板垣さんはまだ二十歳そこそこの頃、新しい彗星を発見されました。
しかし報告が遅れ、発見者として彗星に名前がつくことが出来ませんでした。
その後も努力を重ねましたが、どういうわけか運に恵まれませんでした。何度か彗星を発見する機会があったそうですが、すべて誰かが既に発見した彗星で、新しい彗星を発見することは出来ませんでした。
私がお会いしたのは、不運の真っ只中に板垣さんがさらされていた頃です。
まだ私は大学1年、19才でした。
山形天文同好会の集まりで、私は板垣さんから彗星捜索の話を直接伺う機会に恵まれたのです。
話を伺っているうちに、私は自分自身の身体の中が熱くなるのを感じました。
板垣さんからはご自身の不運を嘆く言葉は一切、ありませんでした。
その日を境に、私は一回り大きな天体望遠鏡の自作を決意しました。
せっせとアルバイトをして、アメリカ製の大きな反射鏡を入手しました。
世界にただひとつの自分専用の彗星観測用の天体望遠鏡を自作したのです。
そして彗星観測へ情熱を燃やすようになりました。
それ以来、私の青春は彗星と共にありました。
私の心を熱く燃えさせて下さったのが、板垣さんでした。
板垣さんは単に精神論だけで彗星捜索を続けていらしょったわけではありません。
常にその時々で、勉強され工夫されながら彗星捜索を続けてこられました。
晴天率の悪い山形市を離れて、宮城や栃木に観測所を建設され、捜索のための望遠鏡をコンピューターで制御したり、画像を解析したりする努力を続けてこられたのです。
もちろん、本業のお仕事も続けながらです。
板垣さんはこのような努力しながら捜索を続けられ、小惑星や超新星を数多く発見されましたが、新彗星だけはどういうわけか発見することが出来ませんでした。
今回の発見は板垣さんの長年の悲願が成就したものに違いありません。
仕事や家事に追われ、すっかり彗星観測から遠ざかっている私ですが、また熱くなってきました。