桑原です。
私の父の頭は見事にはげております。
しかし、当の本人は「人間の進化した姿だ」と、
ハゲを隠すどころか、むしろ誇らしげです。
ハゲは遺伝するらしく、私も薄毛で悩まされてきました。
修学旅行の荷物検査では、育毛剤を取りあげられみんなの前で立たされたり、
美容室で芸能人と同じ髪型を注文したら、
「(髪が少なくて)無理です」と言われり、そんな思い出ばかりです。
桑原家はそんな一族なのですが、
娘は「じったん(私の父)」の本当の姿(頭)を知りませんでした。
なぜなら父が座っていても娘より座高が高いために、
娘は父の後頭部を見たことがなかったからです。
しかし、ある日のこと、ソファで横になっている父のカッパのようなハゲ頭を娘は見てしまったのです。
娘はよほど驚いたのか「あー」「あー」と二回叫んで、目を大きくしました。
それから、娘は親父の頭をペチペチと木魚のように二回叩き、一瞬悩んだ顔をしました。
そして娘が言った言葉は「ほっぺ!」でした。
娘は父のハゲ頭を「ほっぺた」だと思ったようです。
天才ナポレオンの辞書に不可能の言葉はないといいますが、
笑いの天才である娘の辞書には「ハゲ」の言葉は無かったようです。
笑いの神様が光臨した瞬間でした。
桑原家は「笑いをとったもん勝ち」という一家です。
娘に「じったん」と言われ、髪の毛を引っ張られても笑顔の父は、
「笑いが取れておいしい」と思っているのかもしれません。