笠井です。
江陽に地域活動支援センター「夢ハウス・けやきの家」という施設がある。
養護学校の保護者の皆さんが、子どもたちのために開設した福祉作業所だ。
今は、障害者自立支援法の関係で「福祉作業所」という名前が使えなくなり、地域活動支援センターという名前になっている。
開設資金集めのため、フリマやコンサートを企画したり、相当なご苦労をされての立ち上げだったそうで、初めは川崎にオープンしたが、手狭になったということで、今は江陽に移転しています。
私が見学に伺った時は、ちょうど6~7名の保護者の方と施設管理者側の方が、今後の運営方針に関して意見交換を行っている最中だった。
管理責任者の方曰く、子ども達のために、それこそ「えいやー」で始めたが、ここに来て方向修正を迫られているのだそうで、そのための意見交換会ということでした。
私も障がい者の親の一人なので、敢えて言わせてもらうが、
世の障がい者の親の多くは、行政に対して陳情する(泣きつく?)ことを自分の仕事だと勘違いしている。いいえ、それはまだ良いほうで、大半の親達は日々の目先の生活に追われ、何も考えられず、集まっては愚痴を言い合い...ただ、それだけで終始してしまっている場合がほとんど。
そういう中で、ここ「夢ハウス・けやきの家」は、親達が互いに力を合わせて立ち上げて運営している。
運営の途上に生じる問題も、一つ一つ自分たちの力で解決しながら、一歩一歩乗り越えている。
素晴らしい!!
この「やる気」や「行動力」を見習わねばならない。
しかし、見学していて一つだけ気になったこともある。
現状では、ボランティア精神旺盛な女性の専従職員が日々の現場の仕事を支えているそうだが、
彼女の月の報酬は前職の幼稚園の保育士時代と比べて何分の一にもなったそうだ。
彼女がボランティア精神を持続できている内は、報酬などの問題は関係ないだろう。
しかし、もしも体調不良とかが原因で気力を保持できなくなったら…。
そうなった時、彼女と同じようなボランティア精神旺盛な人物が現れてくれれば幸いだが、もしも現れなかったら…きちんとした報酬を支払えない体制では、後任の職員を見つけるのにもおそらく苦労することだろう。
こういった施設が、万一、閉鎖ということにでもなったら、困るのは誰あろう障がい者達当人なのだから、何としてでも運営を継続していってもらいたい。
また「理想」「夢想」と笑われるかもしれないが、
「地域の人たちが力やお金を出し合って運営する」というような方向に近づけていけないものだろうか!?
地域の人たちが障がい者を地域の一員として認め、障がい者達が通う施設を、地域で支えてもらえないものか!?
まずは障がい者とその親達が積極的に地域に貢献する姿勢を見せることから入っていってはどうだろうか!?
そのことによって少しずつ受け入れてもらう。
地域の人たちが運営資金を出してくれるなんてことには、当然のことながら、すぐには実現しないだろう。
しかし、地域から受け入れられていれば、バザーやコンサートなどのイベントを開いた時に、少なくとも従来よりは大勢の地域の人たちが訪れてくれるはずで、それだけでも資金集めに有効となるだろう。
そうやって、少しずつ、少しずつ、地域との交わりを深めていけば良い。
障がい者の自立というが、実際には、残念ながら、障がい者がたった一人では生きていくことはできない。
親亡き後の独りぼっちの障がいの子は、いったいどうやって生きていけば良いのだろうか!?
最低の生存権を守ってくれるのが行政の仕事だとは言っても、本当に、それに任せていて良いのだろうか!?
障がい本人が生き生きと楽しく暮らせるような環境を整えてくれて、幸せに一生を終えることができるのだろうか!?
もしかしたら、牢獄みたいなところに押し入れられてしまうのではないか!?
…そんなふうに突きつめて考えていくと、
最終的には頼りとするところは、やはり「共生の地域社会」しかないように思う。
障がいの親の一人一人が、目先のことばかりでなく、少し先を見て、地域との交流の大切さに気付くこと。
そして親の一人一人が自分のできることを、一つ一つ実行していくこと。
キーマンはやっぱり「親」なのではないだろうか!?