先週、福祉センターで、聴覚障がいを持つ15名の方と会ってまいりました。
そこで、聞いたお話を一つ、ご披露します。
これは、中越大震災、避難所での話です。
避難所での館内連絡は、放送による音声連絡によってのみ行われていました。
当然、音声連絡は聴覚障がい者には伝わりません。
どうも人々が入口のほうに向かっているようだなー?
何かしているんだろうか?
そう思って、その方向へ行ってみると、パンが配られていて、自分が行った時には、もう残っていなかった。と、いうようなことが頻繁にあったそうです。
ろうあ者協会は行政に、避難所内でそういうことがあったということを伝えて、音声だけでなく文字でも伝達してくれるように要望した。
ところが、それに対応して、行政が取った行動は、
「この避難所内で聴覚障がいの方がいたら、文字伝達をしますので申し出てください」
と館内放送することだったと言います。
笑い話のようですね。
それが現実。
多くの市民が避難生活している状況で、行政としては、より多くの市民を救援するために、画一的な支援によって、効率を上げて大勢の人たちを救援しようとするはず。
それは致し方ないことだ。
そのような画一的な支援では、
障がい者の個別性、多様性の高いニーズは当然満たされず、支援の網から漏れてはみ出していく。
大混乱の中、突如大量に湧いて出てきた市民からのニーズを、できるだけ多くさばこうとするのが精いっぱい。
個別性の高いニーズは後回し、、、障がい者への支援はどんどん後回しにされるのだ。
ここには、大きな問題がある。
しかし、行政職員を責めることもできない。
彼らとて、一生懸命にやっていたはずだ。
大災害など経験のない彼らに、地震によって突如、市民から大量のニーズが降ってきた。
その中から、障がい者の個別性の高いニーズだけ取り出して特別扱いしろ、、、そんな要求を、どの程度理解してもらえるのか?!
難しいだろう。
障がい者側も、行政側に要求するばかりでなく、
まず、自分たちが相互に助け合う努力をして、その上で、足りない支援を行政に求める。
そういう姿勢が必要だと思う。
その「自分たちが相互に助け合う」仕組みを作ること。
私たちはそれを支援していきたいと思い、活動しています。