市川市の無職女性(80)がだまされて振り込んだ現金が犯罪者側に引き出されるのを防いだとして、行徳署は「住信SBIネット銀行」(東京)に署長感謝状を贈った。金融機関の窓口に来た高齢者がだまされていると気付いて職員が被害を未然に防止するケースは多いが、今回は現金が振り込まれた先の金融機関が口座の取引を停止して被害を防止したもので、こうした事例が明らかになるのは珍しい。
同署と同行によると、男から「払い戻しのお金を取り忘れている」などと自宅に電話があったため、女性は先月9日、指示に従い近くのコンビニでATM(現金自動預払機)を操作し、現金約99万円を同行の口座に送金した。すると、昨年11月に独立部署として設置された同行の金融犯罪対策部のシステムが、詐欺が疑われるとして検知した。同行はこれをもとに、入金とほぼ同時に口座から出金できないよう対策を取るとともに、女性が振り込みに使った口座の銀行に連絡。この銀行が県警に通報した。同署が詐欺未遂事件として捜査している。
同部は「ネット銀行は不正利用されやすい。安心して利用していただくためにも、犯罪対策は重要だ」としている。システムが検知した理由は防犯上明らかにされていない。県警幹部によると、ATMでは通常、1度に振り込める限度額が手数料を含めて100万円までのため、一般的に約99万円の振り込み金額などのケースは詐欺が疑われるという。
「還付金がある」という名目でATMを高齢者に操作させ、直接会うことなく現金をだまし取る還付金詐欺は、1件当たりの被害額はオレオレ詐欺と比べると比較的少ない傾向にあるが、昨年は県内で266件(前年比129件増)と多発。被害額は計3億3500万円(同1億8700万円増)に及んでいる。
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