海にすむ化け物に扮した大人が行儀の悪い子をたしなめる福井市越廼地区の伝統行事「あっぽっしゃ」が、少子化の影響で取りやめとなった。毎年2月6日に行われてきた奇習に「脅されて子どもがかわいそう」と受け入れを拒む家庭も出てきたという。主催する住民グループは「なんとか伝統を守っていこうと続けてきたが、これも時代の流れ。ひと区切りつけたい」としている。
1963年ごろまで行われていた「あっぽっしゃ」を83年、地元のボランティアサークル「とうだい」の6人が復活させた。以来、地元保育園に張り紙をするなどして受け入れ家庭を募り、対象の3~5歳児がいる20軒程度を回っていたという。
受け入れ家庭の減少で2006年、中止に追い込まれたものの、「伝統行事がなくなるのは寂しい」との住民の声が上がり翌年に再復活。地区外から孫を呼ぶなどして続けてきたが、少子化に加えて希望する家庭が減り、12年を最後に行われていない。幼児がいる世帯は現在約10軒という。
同サークルの北村真治さん(55)は「子どもがいて、初めてできる行事。住民の地域への愛着心も薄れてきたのかもしれない」と話し、身を引く決意を固めた。地元の60代女性は「なくなるのは寂しいが、子どもが少なくなり、娯楽も多様化した今の時代では仕方ない」と一定の理解を示す。北村さんは「“後継者”が現れたら、惜しみなく継承に協力したい」と話している。
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