拡大する日本の通信販売市場。13年度の総売上高は前年比8.3%増の5兆8600億円で、15年連続の増加。10年後には国内スーパーの売り上げ13兆207億円(2014年)を追い抜くという予測もあるが、それとともに偽サイトによるトラブルも急増中だ。
まずは写真を見てもらいたい。何の変哲もない大手家電量販店のオンラインショップのサイトに見える。
ところが、どっこい。これは「なりすまし」と呼ばれる偽サイトだ。社名やロゴはうり二つ……というか、まったく一緒。これだけ完全コピーするとは、大胆にもほどがある。被害に遭った家電量販店はHP上で注意喚起しているが、取り締まっても、明日には別の会社の偽サイトが登場するイタチゴッコだ。
日本通信販売協会によると、なりすましを含む「詐欺的サイト」の相談件数は、11年262件、12年1036件、そして13年は3829件(前年比3.7倍)へと激増している。泣き寝入りしている人の数の方が圧倒的に多いのが現実で、数字は氷山の一角だ。
被害の平均単価は1万2405円。ダマされた人の男女比は57対43で、男性の方が多い。数年前の詐欺サイトは、偽ブランド商品など曲がりなりにも商品を送ってきたが、直近のデータでは92%が商品が届かない。「おかしいな?」と思った頃に電話してみると、プープープー……。サイトも閉鎖されているといったありさまだ。
■架空の住所、つながらない電話番号
足腰の悪い高齢者にとっても便利なネット通販は大きな福音。ダマされない方法はあるのか。改めて日本通信販売協会の八代修一氏(消費者相談室長)に聞いてみた。
「じっくり偽サイトを見てみると、必ずどこかにボロがあります。日本の法律では、事業者の名称や住所、電話番号など13項目の表示義務がありますが、住所表示がなかったり、あっても<日本橋曙町>など架空の住所だったりします。ドメインは日本なら“jp”ですが、“pw”というものもありました。これはパラオのドメインです」
翻訳ソフトを使ったヘンテコな日本語も偽サイトの特徴だ。実際に確認されたヘンな日本語には「客様満足、当社が完全に蓄積、保管します」とか、「どんな質問があったら、お気楽に問い合わせてください」などがあった。
また、クレジットカード払いで契約したのに、後日メールで「機械トラブルのため」といって、前払いの振り込みを要求されるのも怪しい。その振込口座の名義が外国人風なら、さらに疑いは濃厚だ。
「怪しいと思ったら、まずはサイト事業者に電話してみてください。そしてもうひとつ、“安すぎる”商品には手を出さないこと。これがダマされない一番の防衛策です」(八代氏)
それでもダマされたら警察へ。クレジット払いなら、カード会社から返金されることもある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150203-00000019-nkgendai-life