知らず知らずのうちに、子どもにグチや悪口を聞かせていませんか? 何気なくつぶやいているつもりでも、子どもは親の言葉や態度から、多くのことを学んでしまいます。自分の感情と上手に付き合える子に育てるために、親ができることとは?
子どもにグチ・悪口を垂れ流していませんか?
無意識のうちに、ついグチや悪口を子どもに聞かせていませんか?
「毎日ロクなことがない」「あそこのうちは○○でイヤね」――子どもの前でこうしたグチや悪口をつい口走っていませんか?
不満をまったく口にしないのは難しいことですが、家庭のなかがグチまみれ、悪口まみれの環境になっていると、子どもの心に大きな影響を与えてしまう可能性があります。そして、こうした口ぐせは、親から子へ、子から孫へと、知らず知らずのうちに受け継がれていることが少なくないのです。
たとえば、自分の感情の処理をうまくできない人には、不満を身近な人にグチることで、安易に解消し続けていることが少なくありません。家庭のなかでそうした親の言葉や態度に触れ続けてきた子は、無意識のうちに同じ方法を学んでしまい、その方法を当たり前のものとして、取り入れてしまうものです。
こうしてその子が大人になったとき、知らず知らずに親にされたのと同じように子どもにグチを垂れ流し、親から子、子から孫へと「グチ・悪口の連鎖」を継承させてしまうのです。
悪口は「不信感」を募らせ、グチは「発想力」を貧弱にする
また、子どもの頃から人の悪口を聞き続けていると、周囲の人や自分を取り巻く世界に対する偏見を募らせてしまいます。たとえば、娘が母親から「お父さんって○○なんだよ。まったく男って自分勝手なんだから」といった悪口をいつも聞かされていれば、娘は無意識のうちに、「男性なんてそんなもの」「結婚生活なんてそんなもの」といった偏見を育ててしまうでしょう。近所の悪口をいつも聞かされていれば、他人への不信感と警戒心を募らせてしまうものです。
同じように、グチを聞き続けていると、子どもの発想力は貧弱なものになっていきます。本来、子どもの心には、自分の力で色々なことにチャレンジしていきたいという意欲がある一方で、「できなかったら恥ずかしい」「自分には無理なんじゃないか」という臆病な気持ちも併存しているものです。
しかし、親が「どうせうまくいかない」「なんでいつもこうなるんだろう」といったグチばかり漏らしていると、その言葉や態度に触れ続けてきた子どもは、「親がそう言うなら、自分だってどうせうまくいかないだろう」といった偏った価値観を膨らませてしまい、つらくても「前向きに頑張る勇気」を持てなくなってしまいます。一度凹んでも、そこから立ち直れるメンタルを育てることができず、自分に自信を持てなくなってしまうのです。
親自身が感情との付き合い方を学ぶ
本来、不満に飲み込まれずに気持ちを切り替えたり、偏った結論にはまらないように、発想転換の努力をしていけば、グチや悪口は自然に少なくなっていきます。しかし、そうした試みをせずに、不満をグチや悪口に乗せて子どもに聞かせていたら、子どもはその感情処理方法を学び、同じようにグチや悪口が口ぐせになっていくでしょう。そのくせは、大人になっても続き、感情との折り合いの付け方を身につけられなくなってしまうのです。
とはいえ、ただグチや悪口を“がまん”するだけでは窒息してしまいます。したがって、感情との上手な付き合い方、不快な感情にとらわれそうになったときの発想の転換方法を、積極的に学んでいくことが必要になります。
たとえば、プラスの眼鏡で物事を捉え直す「リフレーミング」、ストレスをためやすい自分の考え方のクセを見直し、言動を変化させる「認知行動療法」、感情をあるがままに体験する「森田療法」などは、ぜひお勧めしたい方法です。
その他にも、「ストレスフリーの思考術」カテゴリーでも発想転換のコツをたくさん紹介していますので、ぜひ参考にしていただければと思います。