厚生労働省は1月7日、将来の認知症患者数を推計し、2025年には700万人にのぼるという予測を発表した。推計値は国家戦略案に反映され、しかるべき認知症対策がとられる見通しだ。
認知症は、加齢や様々な要因で脳の細胞が死んでしまい、物忘れや徘徊など、日常生活に支障をきたす状態が約半年以上継続する場合を指す。認知症の引き金となる病気には、アルツハイマー病、前頭・側頭型認知症、レビー小体病などがある。また、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などを患うことで脳の神経細胞がダメージを受け、認知症を発症してしまうこともある。
以前発表された別の推計値では、国内の認知症患者は12年で約462万人だった。しかし、同時に認知症予備軍も400万人にのぼるとされ、合わると認知症患者は800万人に膨らむと予想されていた。今回公表された25年の認知症700万人という推計値は、少子高齢化が進んでいる社会の中で、非常に重い数字だ。65歳以上の高齢者の実に5人に1人が認知症ということになり、社会に大きな課題を突き付けている。
警視庁の調べによると、認知症が原因で徘徊し、行方不明となった人は12年で9,607人。届け出が出されていないケースもあり、実際の行方不明者数はさらに膨らむだろう。また、介護する人も介護される人も65歳以上という「老老介護」の増加も忘れてはならない。厚生労働省の13年国民生活基礎調査によると、介護が必要な高齢者がいる世帯のうち、51.2%が「老老介護」世帯だった。
介護はもはや家族だけの問題ではなく、社会全体で共有すべき問題だ。国や自治体、警察、地域社会の連携が必要とされている。政府は認知症対策の国家戦略案を近く策定予定で、治療薬の研究の推進や、「認知症サポーター」の養成など新たな施策を検討している。また各市町村に医療や介護専門の部署「認知症初期集中支援チーム」を設置し、認知症患者やその家族を支援する制度を進めていく予定だ。(編集担当:久保田雄城)
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