厚生労働省は30日、公的年金の支給額を4月分(支給は6月)から0・9%引き上げると発表した。物価・賃金の上昇にあわせた増額だ。ただし今回の見直しで、少子高齢化の中で年金額の伸びを抑制する仕組み「マクロ経済スライド」が初めて実施され、増額の幅は抑えられた。
国民年金を満額(月額6万4400円)受け取る人の場合、4月分から年金額は608円増え、6万5008円となる。物価・賃金にあわせた増額分は従来通りなら2・3%(約1500円)だが、年金抑制策の実施などで、引き上げ幅は1・4%(約900円)圧縮された。結果として、新年度の支給水準は物価などに比べて実質的に目減りする。
年金は毎年4月、物価や賃金の動向に応じて見直される。総務省が30日に公表した2014年の消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)は、前年より2・7%上がった。これを元にはじき出した賃金上昇率は2・3%。物価上昇率が賃金上昇率を上回る時は、賃金に合わせて年金額を見直すルールがある。従来なら年金額も2・3%上げ、国民年金満額受給者で月に約1500円増えるところだ。
ただ今回は年金抑制策「マクロ経済スライド」を、04年の制度導入から初めて実施する。保険料を払う現役世代が減り、高齢者が増える将来に備える仕組みだ。物価下落時などには実施しない決まりで一度も使われたことがなかった。この制度の初適用で、2・3%のうち0・9%分が抑制される。国民年金満額なら月約600円分だ。
朝日新聞社
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