乳幼児が、冬におう吐や下痢を繰り返したら、ロタウイルス胃腸炎の疑いがある。ロタウイルスの流行は1月から5月ごろ。初めて感染したとき重症化しやすいので注意が必要。
1.ロタウイルス胃腸炎とは
冬におう吐や下痢を引き起こす病気として、ノロウイルスによる感染症が知られています。子どもの場合は、ほかにロタウイルスによる感染症(ロタウイルス胃腸炎)にも注意が必要です。ロタウイルスに感染すると、2~4日の潜伏期間を経て、おう吐と発熱で発症します。おう吐は1~2日程度で治まり、次いで、水のような下痢便が5~8日間続きます。その後は回復することがほとんどですが、重症化すると入院が必要になり、非常にまれに亡くなることもあります。
ロタウイルスが流行する時期は1月から5月ごろで、ピークは2月から3月ごろです。感染力が強く、5歳までにほぼすべての子どもが感染すると考えられていますが、特に発症しやすいのは生後6か月から3歳未満の乳幼児です。初めて感染したときに最も重症化しやすく、その後、感染を繰り返すごとに免疫ができ症状は軽くなります。大人は感染しても発症しないか、軽症で済みます。
2.家庭での対応
乳幼児はおう吐や下痢を繰り返すと、水分・電解質が失われて脱水症をおこしやすくなるので注意が必要です。予防するためには、こまめに少しずつ、経口補水液やイオン飲料などで水分と電解質を補給します。「元気がない」「ぐったりしている」「尿の色が濃い」「尿が半日以上出ない」「唇がカサカサに乾いている」などは脱水症のサインです。これらの症状が見られたら、すぐに医療機関を受診してください。また、市販の下痢止めを使うと、ウイルスを体内にとどめ症状を長引かせてしまうことがあるので、自己判断で使用しないでください。ほかにも、脳炎や脳症といった合併症にも注意し、「けいれんが止まらない」「けいれんが止まってもボーっとしている」という場合は、救急車を呼んで受診してください。
ロタウイルスのワクチンは、のむタイプの生ワクチンで、任意接種で受けられます(2014年12月現在)。初回の接種は生後6週~14週6日までに受けます。他のワクチンとの同時接種も可能です。2回または3回接種のタイプがあり、いずれも費用は合計で3万円弱です。費用はかかりますが、感染したときの重症化のリスクを考えると、受けておくことが勧められます。
☆ 家庭でできる感染防止対策の基本については、
きょうの健康テキスト 12月号に詳しく掲載されています。
※2014年12月現在の情報です。
NHK「きょうの健康」2014年12月24日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20141224-h-001.html