元俳優の菅原文太さんが、11月28日に亡くなっていたことがわかりました。死因は、転移性肝がんによる肝不全。2007年に膀胱がんを発症した菅原さんは、闘病生活の末に一度はがんを克服していました。しかし、肝臓に転移したがんは、再び菅原さんの体をむしばんだのです。
いまや、日本人の2人に1人ががんで亡くなる時代。さまざまな薬剤や治療法が開発されていますが、まだ特効薬と言えるものはありません。がんから命を守るのに最も重要なのは、早期発見です。「がん検診」とは、がんの発見に重点を置いて行う検査のことです。初期のがんは自覚症状がないため、自発的に検査を受けないと発見することはできません。そのため、がんの羅患率が高まる40代以降は、毎年がん検診を受けることが推奨されています。
◆日本のがん検診の実態
日本のがん検診の受診率は先進諸国に比べて非常に低く、厚生労働省の国民生活基礎調査によると、国民全体の40%程度の人しか受けていないと言われています。日本におけるがんでの死亡率が年々上昇している要因は、このあたりも関係していると考えられます。なぜなら、がん検診の受診率が80%と高い米国では、ここ数年がんによる死亡率が減少しているのです。
また、がん検診は通常の健康診断のオプションとしても受けることが可能です。わざわざがん検診だけを受けるのは面倒だという人でも、健康診断のついでであれば気軽に受けられるのではないでしょうか。年齢によっては自治体で無料の検診を受けられることもあるので、積極的に利用するとよいでしょう。
◆一般的ながん検診の内容とは?
がん検診は、対象となる部位によってさまざまな検査が行われており、すべての部位の検診を一気に受けることもできますし、気になる部位だけとりあえず受けることもできます。一度に受けるのは体への負担も時間もかかりますので、日帰り、または1~2泊の人間ドックで受けることもできます。胃がんの場合はバリウムを飲んでX線検査を行い、場合によっては内視鏡で直接胃の中を見ながら検査を行います。肺がんもX線検査を行うほか、痰を吐く、喀痰(かくたん)検査によって、がん細胞の有無を調べます。大腸がんは便潜血の反応検査を行い、必要に応じて内視鏡検査を実施することもあります。
◆毎年の健康診断 どのがん検査を受けるべき?
とはいえ、身体のすべての部位の検査を行うには時間も費用もそれなりにかかります。毎年人間ドックを受けるのは現実的ではないとしても、年齢に応じて最低限必要な検診だけでも受けるといいでしょう。例えば、女性の場合は40代でかかるがんの半数以上が乳がんや子宮がんなど婦人科系のがんだとわかっていますから、そういった婦人科系の検診だけでも毎年受けるようにするといいでしょう。
もちろん、それ以外の検査も余裕があれば受けるに越したことはありません。その場合、自治体の検診などをうまく利用することで費用を抑えることができます。男性の場合は胃がんや肺がんはあらゆる年代で羅患率が高いので、毎年受けておくほうが安心です。また50歳前後になると急激に前立腺がんが多くなるので、50代になったら検診を受けるようにしたいところです。
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