秋と言えば、ボジョレーヌーボーの季節ですね。2014年は11月20日が解禁日となっており、その味に期待が寄せられています。
しかし、ボジョレーヌーボーという名前は聞いたことがあっても、どんなワインのことを意味するのか知らない方もいるのではないでしょうか。また、毎年ボジョレーヌーボー解禁日はイベントで騒がれますが、なぜなのでしょう。
ボジョレーヌーボはどんなワインなのか。解禁日に秘められた謎は何であるのか。2014年の最新情報とともに、飲むときのおつまみがてら、ボジョレーの秘密を探ってみましょう!
ボジョレーヌーボーとは?
ボジョレーヌーボーとは、フランス・ブルゴーニュ地方の南にあるボジョレーという地区でその年に収穫された、「ガメイ種」というブドウを使って造られたワインです。
ボジョレーヌーボーの5条件
ボジョレーヌーボという名称を冠することができるワインには、おおよそ以下の5つの条件があります。AOC(原産地呼称統制)と呼ばれる認証によって厳しく条件がつけられています。
- 産地…フランス・ブルゴーニュ地方にあるボジョレー地区
- ぶどうの生産時期…その年に収穫されたぶどう
- ぶどうの品種…ガメ種またはガメイ種というぶどう
- ワインの製法…マセラシオン・カルボニックという発酵法により製造された赤ワイン
- アルコール度数…9度以上
フレッシュさが味の特徴
収穫から2ヶ月ほどしかかけないで醸造されたボジョレーヌーボーは、渋み・苦味が少なくフルーティな味わいです。やさしい口当たりなので、はじめての人に飲みやすいワインとされています。
ヌーボー(nouveau)とは、フランス語で「新しい」「新鮮」という意味ですが、その名通りこのワインはフレッシュさが売りです。購入したら早めに飲むほうがおいしく頂けます。
開封すると酸味が出てくるので、その日のうちに飲みきるのがベストですが、冷暗所で保存して数日程度ならばおいしく飲めるようです。
飲み方は、冷蔵庫で1時間くらい冷やし、14~16℃程度で飲むのが調度良いそうです。
意外と豊富な種類
ボジョレーヌーボーには、実はいくつか種類があるのです。主な種類は以下の4つです。
- ボジョレー…タンニンが少なく爽やかな味。アルコール度数10度。
- ボジョレー・シュペリュール…アルコール度数10.5度以上。
- ボジョレー・ヴィラージュ…ボジョレー地区の北側の地区で造られる。アルコール度数10.5度以上。
- クリュ・ボジョレー…ぶどうの個性を活かした長熟タイプのコクのある味も含むのが特徴。
「ボジョレー・ヴィラージュ」は、ボジョレーを生産する96ヶ村のうち、北側に位置する38の村のみから造られたワインに限定してつけられる名称です。
また、「クリュ・ボジョレー」はボジョレー・ヴィラージュより優れた生産地として認められた10の指定栽培地(村)で生産されるワインを指します。Moulin-à-Vent(ムーラン・ナ・ヴァン)、Morgon(モルゴン)、Saint-Amour(サンタムール)などがあります。
軽い口当たりのボジョレーと違い、ワインの深みや集中度が高品質なものが多いといわれています。
しかし新酒としての規格がなく名乗れないために、この地区で生産されたものにも「ボジョレー」か「ボジョレー・ヴィラージュ」という名前がつきます。
ボジョレーヌーボーお披露目!解禁日はいつ?
ボジョレーヌーボーは毎年11月の第3木曜日に解禁されます。厳密には「出荷地域の現地時間で11月第3週目の木曜日・午前0時」より解禁されることになっています。
2014年の日本の解禁日は、11月20日の午前0時!!
実は日本では日付変更線の関係で、世界で最も早くボジョレーヌーボーが解禁されるのです。毎年解禁日がニュースになりお祭り騒ぎになるのも無理はありませんね。
なぜこの日に解禁されている?
解禁日ができる前にボジョレーヌーボーは誕生した
収穫したばかりのガメイ種から造られるワインは、1900年代中頃までボジョレー周辺の地元住民の間で「地酒」として楽しまれていた飲み物でした。
1951年、軍隊への支給体勢を整えるため、政府はフランス全土におけるワインの出荷を12月15日までに制限しました。しかしボジョレー地方の生産者が新酒を早く出したいと要請し、1951年フランス政府によって公式に11月13日に出荷してよいと定められました。
こうして「ボジョレーヌーボー」という名のワインが生まれました。出荷されたボジョレーヌーボーはパリのレストランでブームになり、世界中に広まっていったのです。
人気ワインゆえの解禁日制定
本来ボジョレーヌーボーには解禁日がありませんでしたが、非常に人気のあるワインであったため、だんだん各メーカーが競合他社よりも少しでも早く出荷しようとするようになりました。
このメーカー間の競争がエスカレートして、ワインとしては未熟な状態のものまで出荷されて市場に出回り、消費者の信頼を損なうことになってしまったのです。そこで「ボジョレヌーボー」というブランドを守るためにフランス政府によって解禁日が定められたというわけです。
はじめフランス政府は1967年に解禁日を11月15日に定めました。しかし年によってはその日が日曜日にあたり、フランスでは安息日になるため、ワインショップやレストランの休みと被ってしまいます。
そこで1984年に「毎年11月の第3木曜日」を解禁日と定め直し、現在に至っています。
ボジョレー解禁日に向けて・2つの楽しみ方
自宅で楽しむ派:解禁日前に予約しよう!
ボジョレーヌーボーの予約販売は夏頃からコンビニや各メーカーで予約を開始しているところが多いようです。もちろんデパートや百貨店、ワイン専門店などでも予約可能です。
店舗の場合は受け渡しが開店してからになる場合もあります。解禁してすぐに楽しみたい人は、24時間営業のお店で予約するか、ネットショップなどで当日に配達してもらうようにしましょう。
もちろん予約限定商品でなければ、解禁後は店頭で普通に購入することも可能です。
外で楽しむ派:イベントに参加してみよう!
世界最速のボジョレーヌーボー解禁国&世界最大のボジョレーヌーボー消費国である日本では、解禁日当日はまさに年に1度の盛大なお祭です!各地のいたるところでイベントが開催されます。
高級ホテルやフレンチレストラン、ワインバーでの解禁祝いイベントはもちろんのこと、屋台で楽しめる場所や、コンサートライブの見られる場所など種類も豊富です。
「次の日仕事だから…」なんて野暮なことは言わず、ワイン好きならこの日は大いに盛り上がっちゃいましょう!
レッツエンジョイ東京の「ボジョレーヌーボー2013」。2013年のボジョレーヌーボー解禁日は11月21日(木)。レッツでは、デパート、スーパー、コンビニ、ワイン専門店のおすすめのボジョレーヌ…
ボジョレーヌーボー2014年プレリリース情報
2014年のボジョレーヌーボーはどのような商品ラインナップなのでしょうか。数あるボジョレーヌーボーの内ほんの一握りですが、大手飲料メーカーの発表している2014年のボジョレーヌーボー情報をご紹介します。
KIRINのボジョレーヌーボー
今年の”解禁”は11月20日(木) 「ボージョレ・ヌーヴォー 2014」 欧州新酒を今年も発売
メルシャン株式会社(社長 横山清)は、フランス、イタリアの2014年新酒の受注を7月上旬より全国で開始し、「ボージョレ・ヌーヴォー」を含むフランス産新酒を11月20日(木)から、イタリア…
キリンは昨年に引き続いてアルベール・ビショー社のボジョレーヌーボーを用意しています。バラ色が美しいロゼのヌーボー、有機栽培のぶどうを使用したオーガニック・ヌーボーなども取り揃えています。
また今年は「ボージョレ・ヌーヴォー ヴィエイユ・ヴィーニュ キュヴェ・スペシャル 2014」を発表。なんでも限られたエリアの樹齢50年以上のぶどうを選別して造ったワインなのだとか。期待が高まります。
SUNTORYのボジョレーヌーボー
サントリーの2014年ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー、今年の解禁日は11月20日です。リヨン・ボジョレー ヌーヴォー ワインコンクール 受賞歴NO.1のデュブッフのヌーヴォーを飲…
サントリーはボジョレーヌーボーを世界に広めた醸造家で「ボジョレの帝王」と呼ばれるジョルジュ・デュブッフによるブランドを販売します。赤・白・ロゼ・オーガニックのヌーボー、ウィラージ・ヌーボーなど、セブン&アイ限定品を合わせて全7種あります。
新作として収穫祭をコンセプトにした「ラ フェット ドゥ ヌーヴォー」を発表。ジョルジュ・デュブッフが行う「感謝の宴」をイメージしたラベルに注目です。
サッポロビールのボジョレーヌーボー
サッポロビールはラブレ・ロワ社を中心に13種類の商品を用意しています。木樽に入ったボジョレーヌーボーや、スパークリングワインもあるため、好みに合うワインに出会えるかもしれません。
TOMORROWLANDがデザインしたボジョレーヌーボーは750mlと375mlがあるのでそんなに量を飲まない人でも買いやすくなっています。
また、2014年の「ブルゴーニュのクリマ」の世界遺産申請のロゴを描いているジョイス・デリマータによるデザインのボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボーは750mlと、500mlがあります。
ボジョレーヌーボーの最新情報が知りたい!
フランス食品振興会(SOPIXA)の最新情報でボジョレーヌーボーのプレリリースが掲載されているようです。昨年は9月中頃にぶどうの収穫報告があがっていました。
2014年も解禁の2ヶ月前にあたる9月から、ボジョレーヌーボーの動きが高まる気配がしてきそうです。解禁日が待ち遠しいですね。
気になる評価も待ちきれない!
毎年の出来を評価するを表したボジョレーヌーボーのキャッチコピーはもはや季節の風物詩。この評価は10月下旬にボジョレーワイン委員会が試飲会を開いて決められるようですよ。
毎年ちょっと大げさに聞えるのは、日本の販売メーカーが評価をもとに独自の解釈を加えるからだとか。つまるところボジョレーヌーボーを買ってもらうための宣伝なので悪しからず。
たとえば歴代のキャッチコピーではこんなものがあります。
2003年 「100年に1度の出来、近年にない良い出来」
2007年 「柔らかく果実味が豊かで上質な味わい」
2012年 「ボジョレー史上最悪の不作」「糖度と酸度のバランスが良く、軽やかでフルーティーな仕上がり」
2013年 「みずみずしさが感じられる素晴らしい品質」
近年との出来の比較か、味や香りの具合をうたっているものが多いです。今年はどうなるのでしょうか。その予想をしながら待つのもまた一興ですね。
11月20日はボジョレーヌーボーで乾杯!!
ワイン好きの人もそうでない人も、11月20日は手帳に「ボジョレーヌーボー解禁日」と書き込んでおきましょう。ぜひ当日にフレッシュな味を愉しんでみてください。
(image by PresenPic)
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