目的
近年、幼児を対象にした、自転車に乗る前にバランス感覚を養う遊具、いわゆるペダルなし二輪遊具が販売されています。この商品はペダルがついておらず、地面を蹴って走行する遊具ですが、取扱説明書で禁止されている急な坂道で使用してしまうと、速度がついてしまい重大な事故になることがあります。
PIO-NET(注1)(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)には本年、男児が坂道を下った先で衝突し、小枝が顔に刺さり重傷を負う事故が1件見られました。さらに、医療機関ネットワーク(注2)には、2010年12月から2014年4月までに、幼児によるペダルなし二輪遊具での危害事例が18件(注3)寄せられ、そのうち、「坂道で止まれずに転倒した」、「障害物と衝突したりして受傷した」といった、坂道での事故が11件見られました。
そこで、ペダルなし二輪遊具が坂道を滑走した場合の速度を測定し、消費者に情報提供するとともに、安全に使用するための注意喚起を行うこととしました。
- (注1)PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する情報を蓄積しているデータベースのことです。
- (注2)医療機関ネットワークとは、2010年12月から運用が開始された消費者庁と国民生活センターとの共同事業で消費生活において生命または、身体に被害が生じる事故に遭い医療機関を利用した被害者から、事故の情報を収集するものです。
- (注3)2010年12月~2014年4月11日までの登録分。件数は本公表のために特別に事例を精査したものです。
ペダルなし二輪遊具とは
自転車に乗る前にバランス感覚を養うための遊具として、トレーニングバイク、ランニングバイクといった名称で販売されている商品です。外観は自転車によく似ていますが(図)、ペダルがついていないため自転車(注4)には該当しません。地面を蹴って走行し、足を使って減速するため、ブレーキがついていないものが主流(注5)です。重量は3kg程度と軽く、対象年齢は2歳以上とされているものが多く見られます。また、取扱説明書では公道での使用を禁止しています。
- (注4)道路交通法第2条十一の二では「自転車とはペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車」とされている。
- (注5)後輪のみにブレーキがついているものも販売されていますが、こちらも、自転車には該当しません。
図 ペダルなし二輪遊具の外観的な特徴
主なテスト結果
- 坂道を滑走した場合、一般の自転車と同程度の速度に達することが確認されました
- 全ての銘柄に坂道や公道など使用してはいけない場所に関する記載が見られました。また、子どもだけで使用しないよう注意が記載されていました
- 全ての銘柄でヘルメットを着用して使用するよう表示されていました
消費者へのアドバイス
- ペダルなし二輪遊具で坂道を滑走してしまった場合、傾斜によっては短い距離でも大人が追いつけない速度になります。坂道では絶対に使用させないようにしましょう
- ペダルなし二輪遊具は、坂道や公道などでは使用が禁止されています。取扱説明書の内容を確認しましょう
- ペダルなし二輪遊具は子どもだけで使用させず、必ず保護者等が立ち会い、慣れた場所でも子どもから目を離さないようにしましょう
- 日常からヘルメットを必ず着用させましょう
業界への要望
坂道などの使用が禁止されている場所について、保護者等が危険性をより理解できるよう、一層の啓発活動を要望します
情報提供先
- 消費者庁 消費者安全課
- 内閣府 消費者委員会事務局
- 経済産業省 商務情報政策局 日用品室
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20140703_1.html