現在、子どもを望む夫婦の約10組に1組が不妊症だといわれており、不妊の原因の半分は男性も関係していることがわかっている。男性不妊の原因や治療についてお伝えする。
1.男性と不妊症
日本では一般的に、子どもを望んでいて性生活が2年以上あるにもかかわらず妊娠しない場合を、不妊症といいます。以前は“不妊症の原因は女性にある”と誤解されがちでしたが、WHO(世界保健機関)によると、不妊症の原因の約半分に男性が関与していることがわかっています。最近では、不妊症に対する男性の意識は高まってきましたが、女性に比べるとまだ低いのが現状です。不妊治療は、男性と女性のどちらに原因があっても、共に取り組むことが大切なので、できるだけ2人一緒に医療機関を受診しましょう。
2.男性不妊の原因
健康な場合、精子は精巣(睾丸[こうがん])でつくられ、精子の通り道である精管を通って体外へ出ますが、この流れのどこかに異常があると不妊症の原因になります。男性の不妊症の原因の8~9割を占めるのは、精子をつくる機能の問題です。精巣が小さいことや病気などが原因で、精子がまったくなかったり、少なかったり、動きが悪かったりすることがあります。そのほか、精管が狭くなっているなど精子の輸送経路に問題がある場合や、「勃起障害」「射精障害」といった性機能に問題がある場合などがあります。
通常、男性の不妊症の検査は泌尿器科で行われ、検査費用には保険が適用されます。基本となるのは精液検査で、WHOの基準をもとに、「精液の量」「精子の数・活動性・形」を調べます。精子の状態は採取したときの心身の状態によっても異なるため、通常は複数回検査を行ってから不妊症かどうかを診断します。精液検査で不妊症が疑われる場合には、「精巣の大きさ」「精巣の炎症の有無」「精索静脈瘤[せいさくじょうみゃくりゅう]の有無」「ホルモンの値」などについて、さらに詳しい検査が行われます。
☆検査の詳細、治療法などについては、
きょうの健康テキスト 5月号に詳しく掲載されています。
NHK「きょうの健康」2014年5月20日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140520-h-001.html