今まで「スゴ技Ｑ」では、おなかポッコリには「腹横筋」を、わき腹スッキリには「腹斜筋」を鍛えるエクササイズを紹介してきました。
今回は、それらのお悩みにも答えつつ、さらに、腰痛改善にも効果があるというインナーマッスル「大腰筋」に注目します。
腰痛に悩む宮下くんをはじめ、スポーツ選手のトレーナーを務める理学療法士の中野崇さんが大腰筋の状態のチェック方法を紹介。さらに、この大腰筋に注目している、モデルの道端カレンさんがオススメの大腰筋エクササイズを教えてくれます。さらに、整形外科医は腰痛撃退のストレッチ、そして、さっそうと歩くためのエクササイズの極意をスポーツ医学の専門家を紹介しました。
■大腰筋チェック法
腰痛・猫背・おなかポッコリ･･･。これらの症状に悩む、あさイチサポーター。その原因の一つは、大腰筋の衰えでした。大腰筋の衰えをチェックするのに、理学療法士の中野崇さんが勧める方法は、靴下を履く姿勢です。
みぞおちの辺りから太もものつけ根までをつないでいる大腰筋は、姿勢を保ったり、足を持ち上げたりするのに使われる筋肉です。そのため、足を上げ、腰に引き寄せるようにして靴下を履くのが、大腰筋を使う靴下の履き方です。腰だけを曲げて靴下を履いている人は、大腰筋が衰えて、うまく使えていない可能性があります。皆さんもチェックしてみてください。
取材協力
中野崇さん（理学療法士）
■モデル直伝！エクササイズ
二児の母にして、美しいボディーラインをキープしているモデルの道端カレンさんに、大腰筋トレーニングを教わりました。
上級者向けなのが、「脚を上げた腹筋運動」。上体を起こして、おへそをのぞき込んだ状態で、脚を曲げ伸ばしする運動です。腹筋を縮めた状態で脚を動かすため、大腰筋を集中的に鍛えることが出来ます。
この腹筋運動がつらい！という方にオススメなのが、「お尻歩き」です。ポイントは、上に伸びる意識で、背筋を伸ばした状態で片足ずつ丁寧に脚を引き上げること。そうすることで、股関節を深く曲げることになり、大腰筋への負荷が大きくなります。さらに、脚を上げるときに、腰の骨とろっ骨を近づけるようにすることで、脇腹の筋肉も鍛えられて、ウエストのくびれ作りにも効果的です。
取材協力
道端カレンさん（モデル）
佐野みほろさん（整形外科医、日本医科大学 整形外科学教室、しおがま診療所整形外科）
■腰痛対策ストレッチ
大腰筋は、腰痛とも深い関係があります。前かがみの姿勢を長時間続けると、大腰筋が収縮し続けて背骨が前に引っ張られ、背骨周辺の筋肉に負担がかかって、腰痛を引き起こします。そこで、収縮した大腰筋をストレッチして伸ばすことで、姿勢がよくなり腰痛改善にもつながります。
大腰筋を伸ばすために、整形外科医の太田邦昭さんが勧めるストレッチは「アザラシポジション」です。ひじをたてて、背中の力を抜いた状態でへそを床につけて、１０秒間キープ。このとき、胸を張ったり、肩に力を入れると背筋にも力が入って上体が反ってしまうため、逆に腰痛を悪化させる可能性があります。１０秒後、ひじを崩して楽な姿勢になり、５秒間。この動きを５回、１日２セット繰り返します。
太田さんは、続いて、アザラシポジションによって収縮した背筋を伸ばすストレッチも併せて行うことを勧めています。ひざを曲げた状態で、息を吸いながらゆっくりと上体を起こし、息を吐きながら戻します。これを５回、１日２セット行います。
取材協力
太田邦昭さん（整形外科医、太田整形外科（愛知県 豊橋市））
太田さん監修のエクササイズをしているスポーツジム
太田整形外科フィットネスクラブ
■歩きに役立つ大腰筋トレーニング
大腰筋が衰えると、脚を引き上げ、前に振り出す力が弱くなるため、歩幅が狭くなって歩くスピードが落ちるだけでなく、つま先を高く持ち上げられずに段差などでつまずきやすくなります。
日本の伝統芸能「能」の「すり足」でも、大腰筋は鍛えられます。「すり足」の基本姿勢である、“お尻をあげて、ひざの力を抜く”という中腰に近い姿勢を保つことによって、大腰筋に負荷がかかるのです。今回、ＭＲＩ検査をしたところ、半世紀近く「すり足」を続けてきた能楽師・観世芳伸さんの大腰筋横断面積は、５０代前半の平均値よりも２割も多いことがわかりました。
「すり足」のコツは、お尻を上げて、ひざの力を抜いた基本姿勢を保ちつつ、足の裏を見せないように、地面と平行に足を動かして歩くことです。この「すり足」を折りにふれて日常生活に取り入れてみませんか？
取材協力
久野譜也さん（筑波大学大学院 人間総合科学研究科 スポーツ医学専攻 教授）
観世芳伸さん（能楽師）
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NHK「あさイチ」2014年5月13日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/asaichi/life/asaichi-20140513-a-001.html
