人間が生きていくために必須の物質・必須栄養素とは
植物は光合成によって必要な栄養素を自分で作り出せますが、人間はそうではありません。必要な栄養素を食べる必要があります。
私たち人間は、植物たちと違って光合成によって生きて行くために必要な物質の全てを自分で作り出すことが出来ません。命を支えるのに必要な物質は、食べ物として周りから取り込む必要があります。
これら「食べなくてはいけない物質」は「必須栄養素」と呼ばれ、働きによって「タンパク質」「脂質」「糖質(炭水化物)」「ビタミン」「ミネラル」と5つのグループに分けられ、「5大栄養素」と呼ばれています。学生時代に家庭科で習ったあれです。
タンパク質
人間の体を構成する主要な成分です。私たちの筋肉や内臓もほとんどがタンパク質でできています。サプリメントの素材として話題になることの多い「コラーゲン」や「酵素」もタンパク質の一種です。
体の材料になり、体内で起きる代謝(生きていくための化学反応)を促進する働きを担当しているわけですから、食べなければならない物質の筆頭と言えるでしょう。
脂質
ダイエットに熱心な女子の皆さんにとっては困った存在かもしれませんが、脂質も大切な栄養素です。良く知られているエネルギーを備蓄する機能の他に、細胞膜を構成するのも脂質です。体の様々な機能にスイッチを入れる物質(ホルモンやサイトカインなど)の原料にもなります。実は多くの脂質は体内でブドウ糖から合成することが出来るのですが、一部の脂肪酸は作り出すことが出来ません。そのため、やはり食べ物として摂取する必要があります。
糖質(炭水化物)
人気のパンケーキは糖質と脂質が中心の食べ物。お肉や卵と組み合わせるとタンパク質も摂れます。
でんぷんや糖分など、体のエネルギーになる物質です。特にブドウ糖はエネルギーの元になる他、体内の脂質やアミノ酸などの原料としても重要な物質です。但し、私たちの体はアミノ酸などからブドウ糖を合成することが出来るため、厳密に言えば必須栄養素ではないということになるかもしれません。
現代の日本においては糖尿病をはじめとする、糖質の摂り過ぎや運動不足などによる不調に陥っている人が多いことから「糖質制限食」も注目を集めています。
ビタミン
体内で行われるさまざまな化学反応をサポートする「酵素」の助手として働く有機物です(有機物とは炭素を主体に構成された分子)。
現在、水溶性のビタミンB群8種類、ビタミンC、脂溶性のビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの合計13種類が知られています。
ビタミンは、タンパク質、脂質、糖質に比べて必要な量がずっと少なく、1日の摂取量は数mgで十分なものがほとんどですが、欠乏すると様々なトラブルが発生します。必要量が少ないことから、良い食生活を送っている場合には欠乏の心配はありませんが、偏食をしたり、加工食品や外食を食べる機会が多い人の場合は、不足する可能性が高いので注意が必要です。
ミネラル
新鮮な野菜にはビタミンやミネラルが豊富に含まれます。
体を構成する主要な元素は「炭素」「酸素」「水素」「窒素」の4種類。これら主要元素の他にも人体が必要とする元素はたくさんあり「ミネラル」と呼ばれています。「カルシウム」「リン」「硫黄」「ナトリウム」「マグネシウム」「カリウム」「マンガン」「鉄」「コバルト」「銅」「亜鉛」「モリブデン」「塩素」「ヨウ素」「セレン」などがその顔ぶれ。
カルシウムが骨の材料だったり、鉄が赤血球に含まれて酸素の運搬に役立っていることは有名ですが、それ以外にもミネラルはビタミンと同じように、体内で行われる化学反応に無くてはならない働きを担当しています。
(番外)食物繊維
これら5大栄養素に加えて、最近注目を集めているのが食物繊維。人間の消化酵素で分解できず吸収もされないため、以前はあまり重要視されていませんでした。ところが、近年では便通を整えたり腸内細菌を良い状態にするなど、様々な役割が明らかになりつつあり、十分に摂取することが推奨されるようになっています。
サプリメントを購入する前に一呼吸
一方、必須栄養素のどれか一つにでも欠乏があれば体は円滑に機能せず、最悪の場合は病気になったり、命を落としたりすることになります。
魅力的なキャッチフレーズのサプリメントに飛びつく前に、一呼吸おいて「生きていくために必須の栄養成分のバランスが取れているか?」を考えるようにすれば、無駄なお買い物を避けることが出来ると思います。