推定患者数1,300万人と言われる「骨粗しょう症」。そのうち1,000万人が女性というオンナの病です。ただ、病院に通っている人はおよそ20%。がんや心疾患、脳卒中と違って「命に関わらない」また「高齢者の病気」というイメージが強いため、深刻な状態になるまで放置されることが多いのです。
でも、油断大敵です!あるリスク要因を持っていると、若くして骨粗しょう症になる可能性は十分にあります。また、骨密度が高くても安心出来ません。骨の成分の半分を占めるコラーゲンが劣化することで、骨粗しょう症になってしまう場合があるんです。コラーゲンの劣化は40代から始まるので注意が必要です。
そこで、禁煙や飲酒などの生活習慣、体型、そして遺伝などの要因から骨粗しょう症のリスクを割り出す簡単チェックリストや、1日2分足らずで骨の強さを維持する効果的な運動法、さらには、レシピが無限大に広がる“骨太料理”の大原則をご紹介。もしかしたら知っているつもりになっている骨粗しょう症の最新情報をお伝えしました。
■若くても 油断大敵!
40歳で骨粗しょう症と診断されたエイコさん(仮名・44歳)の事例をご紹介しました。
若い頃から運動を続け、食事も好き嫌いなく食べていたエイコさん。骨粗しょう症とは無縁と思えるような生活を送っていましたが、40歳のころ、1年半ほどの間に2回も骨折し、骨粗しょう症と診断されてしまいました。
実は、ある女子校で行われた調査によると「やせている人」と「母親の骨密度が低い人」は、若くても骨密度が低い傾向にあることが分かりました。骨密度の母から娘への遺伝率はおよそ6割です。エイコさんも、子どものころからやせ型、エイコさんの母親も骨密度が低く、治療を受けているといいます。
骨粗しょう症 リスク因子 チェックリスト
日本骨粗鬆(しょう)症学会理事長の太田博明さんによると、「体型」や「遺伝」のほかにも骨粗しょう症のリスク因子はいろいろあるといいます。
多ければ多いほどリスクはあがりますが、中でも「両親や祖父母が骨粗しょう症」「アルコールの多飲」「喫煙」はリスクが大きいので、注意が必要です。
骨粗しょう症リスク因子
・小柄でやせ型
・両親や祖父母が骨粗しょう症
・閉経している
・偏食(牛乳や乳製品が嫌い)
・運動不足
・アルコールの多飲
・喫煙
・日光にあたらない生活
・過度のダイエット
・ステロイド薬の長期服用
年齢と骨密度の変化
女性の骨密度(若年成人平均値)は、だいたい20歳くらいでピークを迎え、そこから横ばい、そして閉経の5年ほど前から減少します。
骨密度は70%未満で「骨粗しょう症」、70~79%で「骨量減少」、80%以上だと健康です。「骨量減少」でも、手首や足などを骨折した場合には、骨粗しょう症と診断されます。
さまざまなリスク要因の影響で、若いときに骨密度を増やすことが出来ないと、その分だけ「骨量減少」や「骨粗しょう症」の数値に早く達してしまうのです。
早めの検査を!
自分の骨密度を早めに知ることで、未然に骨折を防いだり、骨密度を上げたり維持したりするための対策が出来ます。どこで検査を受けられるかは、お住まいの市区町村の保健センターや保健所にお問い合わせください。骨粗鬆(しょう)症財団のホームページでは、診療を行っている全国の病院を紹介しています。
公益財団法人 骨粗鬆(しょう)症財団 「病医院一覧」
ホームページ:http://www.jpof.or.jp/hospital-top.html
■骨密度が高くても要注意!
骨密度が同年代平均より30%も高かったにも関わらず、気付かないうちに腰椎を骨折してしまったというアイさん(仮名・69歳)の事例をご紹介しました。
2年ほど前から腰の痛みを感じていたアイさん。生活に支障が出ない程度だったため、さほど気にとめていなかったと言います。しかし次第に物を持ち上げるのが以前よりつらくなったり、背中の丸みが気になったりするようになり、病院を受診しました。腰椎が圧迫骨折していると知り、アイさんは「痛みもなく歩けたため、本当に驚いた」と言います。
“不思議な骨粗しょう症”の原因は?
アイさんのようなタイプの“不思議な骨粗しょう症”に詳しい、東京慈恵会医科大学の斎藤充さんによると、アイさんの骨は「コラーゲンが劣化」していたのではないかといいます。
骨の成分は、およそ半分がカルシウムなどのミネラル。これが、骨密度で表されます。そしてもう半分は、コラーゲンです。このコラーゲンの質が劣化することでも、骨の強さは失われてしまうのです。骨のコラーゲンの状態を「骨質」といい、骨粗しょう症による骨折の、およそ7割が「骨密度」が原因、およそ3割が「骨質」が原因だと言われています。
アイさんは持病の糖尿病が原因で「骨質」が劣化していたと考えられます。
※骨質についてはまだ研究の段階で、外来や健診などで測定することはできません。
骨質を研究している大学
「東京慈恵会医科大学」
担当:斎藤充さん(整形外科学講座准教授)
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NHK「あさイチ」2014年4月16日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/asaichi/life/asaichi-20140416-a-001.html