「食べるラー油」に始まり、「塩麹」、「ジュレ調味料」、「ハチミツみそ」、など、本企画では今までにも話題の調味料をいくつか紹介してきたが、今年に入りまた新たな調味料が話題になっている。「塩レモン」という、レモンを塩漬けにしたものだ。簡単に作ることができ、長期保存も可能で、幅広いメニューに活用できると様々なメディアでも取り上げられている。今回はその作り方と、簡単で激ウマな活用レシピをご紹介。
そもそも塩レモンというのは、モロッコなどのアフリカ料理をはじめ、世界中でよく使われる調味料。モロッコではタジン鍋などの煮込みはもちろん、肉や魚のグリルにも、サラダにも使われているのだ。酸味と塩気とともにレモンの香りが爽やかで、「香りの調味料」とも言われている。
アフリカ料理にも精通し、本企画の食べ比べ記事でも登場している、パクチーハウス東京の店長、牛田うっしいさんも、塩レモンをもう4年も愛用しているという。「料理に塩味と酸味をプラスするときに活躍します。発酵による自然の旨みがプラスされているので、とても便利。焼き・蒸し・生、何にでも使えますし、お肉・魚・野菜、食材は選びません! もちろん和風にも合いますよ。そのまま刻んで使ったり、時にはすり鉢などで潰して全部使ったりします」とのこと。
編集部でも早速、塩レモン作りに挑戦!
まず用意するものについて。レモンは、皮ごと食べることになるので、国産のもので低農薬や無農薬を選ぶのがおすすめ。低農薬の場合は、皮ごとしっかり洗ってから使用すれば農薬が少し洗い流せるらしいので、より安心だ。塩は味がまろやかになりやすい粗塩がおすすめ。密閉容器はアルコール消毒か煮沸消毒をしてから使えるよう、瓶容器が使いやすい。
では実際塩レモンを作ってみよう~。材料は、レモン3~4個程度、塩はレモンの重量の10%程度を用意して、いざスタート!
<「塩レモン」の作り方>
(1)レモンはよく洗って水気を切り、ヘタの部分を切り落とし、8等分のくし型にカットする。
(2)カットしたレモンの重量をはかり、その10%の重量の塩を計量しておく。
(3)消毒した密閉容器に、レモンと塩が交互になるように入れていく。
※ローリエ等のハーブを一緒に漬け込むと香りがまた一層奥深くなるので、オリジナルの香りを楽しむのもおすすめ。
(4)このまま冷暗所(夏場は冷蔵庫)に保管し、2~3日に一度は瓶を振って中身を混ぜる。数日後から水分が出てきてレモンが浸かるようになる。1か月熟成させればでき上がり! (数日後にもし水分があまり出てこなかったら、レモン汁か、10%の塩水をレモンが浸るくらいまで足す)
さて1か月後、ちゃんと熟成してくれたのかを知るため、とりあえずそのまま食してみることに。
一口食べてみると、当然ながら酸っぱいししょっぱい! レモンの皮は繊維が柔らかくなっていて食べやすい。苦みはほんのりと残る程度で、塩気と、レモンのフレッシュな酸味、それに旨味がしっかりプラスされている。レモンを塩漬けにしただけなのに、味はレモンと塩だけじゃない、旨味のある味わいになっていた!
出てきた液体部分も、まろやかな塩分と酸味でバランスのとれた味になっている。これだけでドレッシングやソースにでもなりそうだ。塩漬けのレモン果実の方が塩分も酸味も濃いが、刻んで液体分と混ぜて使うと、レモン果実がほどよくアクセントになる。
しかしこの塩レモンの実力は料理に使ってみないと! 次ページでは塩レモンの活用レシピを大公開
もともとタジン鍋などの煮込みから焼き物にもサラダにも使われている塩レモン。編集部でも、身近な料理に利用してみた。
まず鶏肉のグリル。オリーブオイルに刻んだ塩レモンとニンニクを混ぜて、鶏肉を漬け込んで焼いてみた。塩レモンからしっかり塩味が出るので、味付けが簡単なのがいい! そしてレモンが爽やか~。
また、牛田さんによると「白身やタコ・イカ・貝類のお刺身の薬味として少し添えても酸味が爽やかでおすすめです! 酢の物にちょっと足してもおいしいです」とのことだったので、お刺身にもトライしてみた。カツオのタタキにもぴったりだし、カルパッチョにも使える~。ただ酸味をプラスするだけでなく、レモンの香りが心地いいのだ。酸味と香りがクセになりそう。これが塩レモンのいいところか~。なるほど!
ほかにも、刻んだ塩レモンをごま油・ナンプラー・ニンニクと合わせればエスニック風のドレッシング、ヨーグルト・ハチミツを混ぜてみたらクリーミーなドレッシングになった。面白い!
さらに牛田さんから教えてもらった、とっておきのレシピ2品を紹介しよう。
【塩レモンのセビーチェ】
材料(2人前)
ボイルエビ・・・・・・小10個
たこ・・・・・・・・・10切
トマト・・・・・・・・1/2個
紫たまねぎ・・・・・・1/4個
黄色パプリカ・・・・・1/4個
パクチー・・・・・・・1把
塩レモン・・・・・・・果実2切れと水分大さじ2
青唐辛子・・・・・・・1/2本程度
ニンニク・・・・・・・1片
EVオリーブオイル・・・大さじ2
ライム・・・・・・・・少々(なくても可)
塩・・・・・・・・・・少々
作り方
1.塩レモンの果実をなるべく小さく刻み、オリーブオイルに混ぜておく。
2.紫たまねぎとパプリカは薄切り、トマトは種をとってダイス状にカットする。青唐辛子は細かく刻み、ニンニクはすりおろす。
3.パクチー以外の材料を全部混ぜ、ラップをして冷蔵庫で1時間なじませる。
4.刻んだパクチーをあえる。最後に塩で味の調整をして出来上がり。ライムがあれば少し絞るといい。
材料を切って和えるだけの簡単レシピだが、レモン、パクチー、ニンニクなどがフレッシュに香る魚介のマリネだ。セビーチェとは本来レモンとハーブやスパイスで作られるものだが、塩レモンを使えば味のバランスを取るのがとても簡単。また塩気がまろやかで旨味を含むので、短時間で深みのある味になる。ピリッと辛くてビールにも合う。これは絶品~! ぜひお試しを!
【塩レモンライス】
材料(2人前)
ご飯、あればジャスミンライス
(少し油を入れて炊く)・・・・・・1合
EVオリーブオイル・・・・・・・・・大さじ2
塩レモン・・・・・・・・・・・・・果実2切れと水分大さじ2
きゅうり・・・・・・・・・・・・・1/2本
白ごま・・・・・・・・・・・・・・少々
塩・・・・・・・・・・・・・・・・少々
作り方
1.きゅうりは薄切りにし、軽く塩をして水気を絞っておく。
2.塩レモンは細く刻み、軽くオリーブオイルを回しかけたご飯に他の材料と入れて切るようにまぜる。
こちらはレモンとジャスミンライスの香りがたまらない一品だ。塩レモン自体に旨味があるから、ただ混ぜただけなのにやさしい味! 刻んだレモンが味のアクセントになり、さらに食べるたびに鼻から抜ける爽やかな香りに病みつきになってしまって、どんどん食べられてしまう~。牛田さんによると「パセリやツナ缶、炒り卵を混ぜてもおいしいですよ! お肉料理やお魚のグリルの付け合わせにもできます」とのこと。おもてなし料理としても良さそう。
塩レモンの実力はまだまだ奥深そうだが、プロも愛用するこの新調味料、いかがだっただろうか? アジア料理が好きな方、ハーブやスパイスが好きな方には、簡単に好みの味が決まるところが便利でおすすめ。自分で漬け込んだ塩レモンで、自分なりのおいしいレシピを開発してみては?
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20140411/178107/?ref=top-shin
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