AFP=時事】病原体に感染した養蜂場のミツバチが、野生のマルハナバチに病気を伝染させている可能性が高いとする研究論文が、19日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。マルハナバチの授粉は世界中の農家にとって不可欠だ。
ハチの個体数は、欧州、米大陸、そしてアジアで、野生においても飼育下においても減少しているが、その原因ははっきりとしていない。
養蜂場のミツバチからウイルス、もしくは寄生生物がマルハナバチに感染しているとする説があるが、欧州の研究チームは論文で、この仮説を裏付ける証拠を発見したと述べている。
研究チームは3段階の実験を実施。第1の実験では研究室でマルハナバチをチヂレバネウイルス(Deformed wing virus)とノゼマ微胞子虫(Nosema ceranae)の2種の病原体にさらし、ミツバチに感染することが知られているこの2種の病原体にマルハナバチが感染するかどうかを確かめた。
結果、マルハナバチの寿命は著しく減少した。マルハナバチ(ハタラキバチ)の平均寿命は21日ほどだが、感染した個体の寿命は3分の1~4分の1程短くなったという。
■病原体はマルハナバチからミツバチに
次の実験では、英国各地からマルハナバチとミツバチを採集し、病原体に感染しているかどうかを調べた。調査の結果、同じ場所で採集されたマルハナバチとミツバチの感染率は非常に似ていたという。このことから、双方に接点があることが示唆され、マルハナバチとミツバチの間で感染が起きた可能性が示された。
最後の実験で研究チームは、同じ場所で採集されたマルハナバチとミツバチが感染してしたそれぞれのウイルスの株が、他の場所で採集されたハチで発見されたウイルス株よりも近縁の株だったことを発見した。これはマルハナバチとミツバチの間で感染があったことをより強く示唆するものだ。
調査の結果、感染した個体数と感染個体におけるウイルスのレベルは、ミツバチがマルハナバチを上回っていた。ここから、病原体はマルハナバチからミツバチに伝わったと考えるよりも、ミツバチからマルハナバチに伝わったと考える方が妥当だと、研究チームは述べた。しかし決定的な証拠はないという。
感染経路について研究チームは、ミツバチが花を訪れた際に病原体を花に残し、その花を訪れたマルハナバチが病原体に感染していると推測する。また、蜜を求めて相手の巣を襲撃した際に伝染している可能性についても説明した。【翻訳編集】 AFPBB News
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