県は19日、2014年度当初予算案を発表した。一般会計総額は1兆5685億円で13年度当初比24・6%の増と過去最大となったが、県中越大震災復興基金からの償還分3000億円を除いた実質では、同0・8%増とほぼ横ばいとなった。人口減対策や消費税率引き上げ後の反動減対策、2020年の東京五輪・パラリンピックを見据えたスポーツ施策などに重点を置いた。24日に開会する県議会2月定例会に提出する。
◆「未来への投資」推進
「未来への投資や、安心して子育てができる、魅力のある社会づくりを進めたい」。19日発表された県の当初予算案について、泉田知事は意気込みを語った。
予算案では〈1〉経済・雇用対策〈2〉人口減少への対応〈3〉医療・福祉の充実〈4〉安全・安心な県づくり〈5〉予算などの選択と集中――を柱に据えた。人口減少対策に力点を置いたことについて、知事は「このままでは本県が人口激減になる。強い危機感を持っている」と述べた。
東京五輪・パラリンピックをはじめ、世界で活躍できる選手の育成や、監督、コーチが県内で指導できる基盤を整理するための基金の創設を盛り込んだ。また、4月の消費税率引き上げで経済の落ち込みが予想されることから、県単独の公共事業費を前年より増やした。
成長が見込める分野を支援し、経済効果を呼び込む「新成長プロジェクト」は13年度で終わったが、増収を見込める分野に投資するため、「未来への投資基金」(14億円)を新設した。知事は「企業誘致、新規ビジネス展開などを実施したい」と展望を語った。
このほか、中越地震や7・13水害から10年、新潟地震から50年を迎えることから、復興した本県の状況を県内外に伝える「防災・減災新潟プロジェクト2014」も実施する。
■歳入
県税は、企業業績の持ち直しなどを見込んで、13年度比70億9800万円(3・1%)増の2331億7000万円と、4年連続で増加の見通しとした。国からの地方交付税は、同37億円(1・3%)減の2740億円とした。4月に消費税率が8%に引き上げられることに伴って県に配分される地方消費税の増額分として44億円を見込んだ。
借金に当たる県債は、過去の県債の償還(返済)資金を賄うために発行する「借換債」が増えるため、同114億8200万円(4・1%)増の2888億6200万円を見込む。
自主財源が全体の52%を占めるが、中越大震災復興基金からの償還分(3000億円)が諸収入に上乗せされるためで、この分を除くと自主財源は41%で、ほぼ13年度並みとなる。
■歳出
人件費は、職員給与削減などで同34億2300万円(1・2%)減の2819億2000万円計上した。
投資的経費は、県単独の公共事業や災害関連事業が増えるため、同91億7600万円(5・2%)増の1861億4900万円で、総事業費では1894億8100万円とした。
借金返済に充てる公債費は同基金の償還により、ほぼ2倍の6171億7300万円に膨らんだ。
◆臨財債除く県債残高、2兆円割る
県の借金に当たる県債残高は14年度末で約2兆4610億円となるが、将来地方交付税で手当てされる臨時財政対策債(臨財債)を除くと約1兆8650億円となり、11年ぶりに2兆円を下回る見込みとなった。
臨財債を除く県債残高は08年度末の2兆4266億円をピークに減少傾向にある。13年度末では約2兆1840億円。14年度は中越大震災復興基金から3000億円が償還されるため、大幅な減少となる。
県は、23年度末までに県債残高を約1兆6700億円に縮小させる方針。