3月15日から東京―長野間で営業運転を開始する北陸新幹線の新型車両「E7系」の報道向け試乗会が7日、大宮―長野間で行われた。「和の未来」を基本理念として開発されたという最新鋭の車両に、わくわくしながら乗車してみた。(樋口絢香)
午前10時39分、アイボリーホワイト(象牙色)を基調としたE7系が大宮駅に入ってきた。沿線の空を表現したという鮮やかな青が上部に輝き、側面には伝統工芸の銅器をモチーフにした「銅色」と青のラインが施されている。先頭部分はシンプルな流線形。従来とは一風変わった「和」の雰囲気を醸し出している。
正午前、大宮駅を出発。高崎駅に停車した後、最高速度の時速260キロに達したが、揺れはさほど感じない。特殊なサスペンションを搭載した最上級の「グランクラス」に移ると、安定感と静かさが格段に増した。軽井沢を通過し信州の山並みを車窓に見ながら、1時間で長野駅に着いた。
上越新幹線では、県境を越えた途端、雪景色に変わって驚く人も多いが、信州ではのどかな田園風景が続く。車両の外観とも調和しているように思えた。
車両は12両編成で、定員934人。グランクラス18人、グリーン車63人、普通車853人という内訳だ。新幹線では初めて全席にコンセントを備え、パソコンなどを使うビジネス客などの利便性を高めている。
グランクラスは、新幹線では最もゆったりとした幅52・5センチの本革シートが採用され、重厚な雰囲気。45度まで倒れる電動リクライニングシートに包まれると、心地よさから旅の疲れを忘れてしまいそう。電動リクライニングはグリーン車にも導入されている。JR東日本運輸車両部の田口真弘次長は「和のテイストの中で、ゆったりとした空間を楽しんでほしい」と意図を説明した。
この日は競争率61倍の抽選を経て当選した一般市民700人も試乗した。東京都足立区、塾講師山岡大樹さん(26)は「金沢まで走るようになったら、新潟や富山にも途中下車してみたい」と笑顔で話した。
このE7系が、来年春から日本海を背景に、上越地方を疾走する。県内で設置される上越妙高駅と糸魚川駅にも多くの人が降り、新潟の魅力を発見してもらえればと思う。