女性の晩婚化や社会進出が進み、30代半ばくらいになってから「妊娠したい」と思っても中々出来ない人が増えています。自分が「生みたい」と思った時が、イコール「妊娠しやすい時期」とは限らないのです。
【特集】いつでも産めるは大間違い!働きながらの不妊治療ってどうなの?
現代は医学の進歩もあり、およそ10組に1組が不妊治療を受ける時代。多くの女性が働きながらの不妊治療を頑張っています。でも、そこにはいくつかの壁があるのも現状なのです。
ここでは、働く女性の不妊治療の現状と自宅で出来る不妊治療について、あわせてご紹介します。
不妊治療にはいくつかの方法があります。大きく分けて4つのステップがありますが、まず1つ目が検査、2つ目がタイミング療法、3つ目が人工授精、4つ目が体外受精です。
いずれの段階においても、場合によっては排卵誘発剤の投与が必要になることがありますし、ステップを追うごとに、費用もかける時間も膨らんでいきます。
月経周期に従って上手く排卵出来ない状態を排卵障害といいますが、排卵誘発剤はこの卵巣からの排卵をサポートしてくれるお薬です。排卵障害が軽度な場合はのみ薬もありますが、上手く効かない場合や排卵障害が重症な場合は、より効果の高い注射薬が必要です。
排卵誘発剤の注射を月経周期に合わせて行い、卵巣を強力に刺激することで1度の採卵で複数の卵子が取りだせるようになります。
しかし、1度の月経周期の内で、2週間程度の間に5回くらいと受診回数がとても多くなります。働きながらの不妊治療は、費用もさることながら、時間のやりくりがとても大変なのです。
妊娠を望む場合、妊娠しやすいタイミングを知ることは大切です。実は、卵子が受精できるのは排卵後約1日、精子に受精能があるのは射精後約3日間であり、妊娠が成立するためには、1ヶ月に1回この僅かな期間に精子と卵子が出会わなければなりません。こんな貴重な妊娠しやすいタイミングを知るためには、事前に排卵日を知ることが大切です。
まず基礎体温をきちんとつけましょう。医療機関で不妊症に関する検査を受ける時や、実際に治療を始める時にも必ず必要となるのが、基礎体温です。
まずは3ヵ月、しっかりと記録してみましょう。基礎体温を測定するには、専用の体温計を使用します。一般的な体温計は小数点以下が1ケタしかありませんが、基礎体温測定用の体温計は、小数点以下が2ケタあります。ここがポイントになります。
排卵や生理のサイクルによって、基準となる体温(平熱)よりも高い期間を高温期、低い期間を低温期とよびます。高温期と低温期の差はおよそ0.5℃程度ですので、基礎体温は正確に測定する必要があります。
28日周期の場合、基礎体温の変化をみると、排卵がある頃から高温期に入り、これがおよそ2週間続きます。その後、生理が始まると一気にストンと体温が下がり低温期に入りますが、これもおよそ2週間続きます。生理周期によっても多少の違いはありますが、自分のリズムをしっかり把握することが必要です。きちんと2相にならない場合は、女性ホルモンのバランスに問題があったり、無排卵性月経(生理があるようにみえても実際は排卵していない)の可能性もあります。
基礎体温をつけることでおおよその排卵日は把握できますが、もう少し詳しく排卵するかどうかを知りたい時には、市販の排卵日検査薬があります。
排卵とは脳から分泌される黄体形成ホルモン(LH)によりコントロールされます。LHは通常でも少量なら分泌されていますが、排卵前後に、急激にその量が増大する時があります。これをLHサージといいますが、LHサージがみられたら(始まったら)そこから24~36時間以内に排卵するといわれています。
排卵日検査薬を使用することで、実際の排卵が今日なのか明日なのかということがある程度判断できますので、その日または翌日に性行為を行うと、妊娠の可能性が高くなります。
排卵日検査薬は、尿を使って排卵前のホルモンを検出することができるので、自宅で事前に排卵日を予測し、妊娠のタイミングを知ることができます。
2008年頃から、排卵誘発剤を自宅で(あるいは会社などで)自己注射することができるようになりました。とはいえ市販されているものではなく、不妊治療を行っている医療機関で処方されることになります。
これは従来のタイプの排卵誘発剤(閉経後の女性の尿からつくられる尿由来製剤)とは違い、卵巣刺激ホルモンを培養して製剤化したもので、皮下注射による自 己注射が認められています。決められた日に自分で注射することが出来ますので、受診回数がかなり減り、時間のやりくりがしやすくなります。
金額的には若干高価なのですが、受診のために会社を休むことやそれによる給料の減額、病院までの交通費などを考えると、金額的な差は気にならないかもしれません。
不妊治療の経過の中で、排卵誘発剤を使用することがあります。
それまでは排卵誘発剤の注射は、医療機関を受診しないとできず、働きながら不妊治療に通う人は、8日から2週間の間、仕事の後に毎日医療機関へ行く必要がありました。
しかし自己注射が可能となった現在では、おおよその排卵日に合わせ、医師の指示の下で1日1回、自分で皮下注射を行うことが可能になりました。仕事との両立が難しかったり、会社には内緒にしているような場合も、これならストレスなく治療が続けられます。
職場の人には仕事を休むたびに「不妊治療なので」とは言い出しにくいものですが、そういった気を使うことも減りますよね。
不妊治療を受けるのは30代から40代の人が多く、社会的な地位もあり、中々仕事を休みにくいとか、仕事のあとのお付き合いなどもあると思いますが、そんな場合でも自己注射であれば排卵誘発剤の注射を始めやすくなるのかも。
薬の効果としては、従来のタイプと比較しても今のところ大きな違いはなく、むしろ従来のタイプにあった感染へのリスクなどが減るため、今後は主流となってくるかもしれません。
その他にも、身体(特に頚やお腹、下肢など)を冷やさない服装や環境を作る、ストレスを溜めすぎない、バランスの良い食生活など、自分でできる「妊娠しやすい身体作り」は色々あります。病院に通って治療を続けるだけではなく、ライフスタイルの見直しや、日常のちょっとした工夫も必要です。
しかし、いずれにしても妊娠・出産にはやはり年齢という大きな壁もあります。女性の社会進出は良いことなのですが、医学が進歩している現在でも、30代半ばを過ぎると、妊娠することは難しくなっていくのが現状なのです。不妊治療を始めたからといってすぐに結果が出るとは限りませんし、年齢を重ねるごとにその効果は出にくくなってきます。
まだまだと思っていても、いずれ赤ちゃんを授かりたいと思うならば、早めに検査を受けて自分の身体の状態を知り、例えば卵巣や子宮に何かしらの病気があるなら治療を受ける、といった早めの対応が必要です。
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