今回取り上げるテーマ：「MVNO」はMobile Virtual Network Operatorの略。日本語では仮想移動体通信事業者と呼ばれる。NTTドコモなどのキャリアから無線通信サービスの設備を借り受けて、移動体通信サービスをリセールする事業者またはサービスのこと。
低価格の移動体通信サービスを提供する「MVNO」が話題になっている。これは、NTTドコモのような通信設備を自社でも持つ事業者から通信サービスを利用する権利を借り受けて、ユーザーにサービスを提供する通信事業者のことをいう。低価格でスマートフォンなどが使えるようになるSIMカードが数多く販売されるようになってきたが、多くはMVNOにより通信サービスが提供される。
プロバイダーや家電量販店、電話会社の傘下にあるMVNO事業者はとても多いが、実はその多くはNTTドコモから設備を借り受けてサービスを提供している。多くのMVNOの利用エリアがNTTドコモと同じなのはそのためだ。
日本のMVNO事業者第一号は日本通信。ウィルコムのPHS回線を借り受け、MVNO事業をスタートさせた。その後、NTTドコモの回線を使うMVNOへシフトした。2011年にイオンとの提携で月額980円のSIMを販売したことは話題を呼び、SIMとMVNOの認知度を高めた。
自社で基地局を持ち運営しているNTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルらのパケット定額サービスの料金は毎月5000～6000円かかる。一方、MVNOが提供するサービスは「データ通信だけを使いたい」「通話もしたい」などユーザーの細かな希望に沿って段階的な価格設定が行われている。低コストの代わりに、使えるデータ通信量や通信速度に制限がかけられていることが多い。
また、大手キャリアは継続契約期間内に解約すると違約金が発生する、いわゆる”2年縛り”の制限を設けているケースが多いが、MVNOで継続契約期間を設けている事業者は少数派だ。まったくなかったり、あっても短いことが多く、これも手軽に使いやすい理由のひとつになっている。
●キャラクターや独自サービスに特化したMVNOも
MVNOが提供しているのは価格勝負の移動体通信サービスだけではなく、キャラクター戦略に特化したMVNOもある。ディズニー・モバイル・オン・ソフトバンクはソフトバンクモバイルのMVNO事業者だ。ディズニープロパティーの著作権の使用許諾と管理するウォルト・ディズニー・ジャパン社が提供している。
ディズニー・モバイル・オン・ソフトバンクの利用者は独自のポータルサイト「Disney Web」へアクセスできる。ここから、好きな写真やキャラクターシルエットを組み合わせて自分だけのきせかえアレンジが楽しめたり、専用の壁紙やアプリが利用できる。さらにディズニー専用のメールアドレス「（ユーザー名）@disney.ne.jp」を取得できるなど、ぞんぶんにディズニーの世界観に浸れる。
魔法瓶で知られる象印マホービン社は「みまもりほっとライン」というサービスを運営している。これも、NTTドコモの回線を利用したMVNO。利用者は通信機能付きポット「i ポット」をレンタルする。これをお年寄りが使うと、その情報を親族にメールで通知するというサービスだ。サービスを使っていることを意識させない、高齢者でも扱いやすい商品として好評を博している。
今後もMVNOによる低価格SIMの提供や、独自性の強いサービスが登場することが予想される。
（文/花岡貴子＝デジタルレシピ研究家、文筆業）
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140206-01054760-trendy-sci
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