日本には全国各地にさまざまな郷土料理が存在します。郷土料理とは地域の産物を活用して、風土に合った食べ物として作られ、食べられてきた料理のこと。その土地の歴史や文化、食生活とともに受け継がれてきたものです。
私も訪れた土地でさまざまな郷土料理に出合いますが、料理からその土地の文化や歴史が垣間見え、また違った角度から地域を知ることができます。
今回は新潟県魚沼市の「けんちん汁」です。
教えていただいたのは、魚沼市の高野山真言宗智山派寿薬山不動院の住職の奥様であり、食生活改善推進委員として地域で食育活動をされている、韮澤知奈美さんです。
◇けんちん汁
魚沼市は2004年に6町村が合併してできた市なので、正式には旧湯之谷村の郷土料理ですが、この地域で採れる「あまんだれ」と呼ばれる天然キノコが入っているのが特徴です。あまんだれとはかさが平べったい、ナメコを大きくしたような形のキノコ。正式名称は「ナラタケ」というきのこで、「あまんだれ」とはこの地域の呼び名らしく、他の地方によってまた別の呼び方があるようです。
あまんだれは塩漬けにして保存し、生のキノコがない時期は塩出しをして使います。鮮度が落ちやすくすぐに色が黒くなるので、生のものは地元でないと食べられません。
この地域ではけんちん汁は仏正月やお彼岸などによく食べられています。1月2日を仏正月と呼び、精進料理を食べる風習があり、元日にごちそうを食べ、2日にはごちそうを仏様に供えて、けんちん汁を食べるそうです。
<材料(4人分)>
サトイモ 100グラム
ダイコン 100グラム
ニンジン 30グラム
ゴボウ 30グラム
油揚げ 1枚
こんにゃく 100グラム
シメジ、シイタケ、ナメコなど好みのキノコ 100グラム(魚沼ではあまんだれを使用)
豆腐 150グラム
だし汁 600CC
しょうゆ 少々
油 少々
<作り方>
1.サトイモは一口大、ダイコン、ニンジンはイチョウ切り、ゴボウはそぎ切り、こんにゃくは細切りにする。油揚げは熱湯をかけて油抜きをして細切りにし、キノコはさっとゆでておく。
2.鍋に油をしいて野菜を炒め、だし汁を加えてひと煮立ちさせ、油揚げ、キノコ(あまんだれ)、こんにゃくを加えて野菜が柔らかくなるまで煮る。
3.しょうゆで味をととのえ、一口大に切った豆腐を入れてさっと煮たら器に盛る。
◇プロフィル
もりおかまりこ。日本食文化研究料理家。料理コンサルタントとしてコンサルティング会社に勤務した後、独立。日本の食文化継承を目的に、全国の町おこし事業に携わり、農業と食を核とした地域活性化支援を行う。日本の伝統食やマクロビオティック、日本文化を生かした健康料理の提案、コーディネートの提案などを行う。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140107-00000002-maikirei-life&p=1