2010年、サントリーが国産ぶどう100%のワインを「日本ワイン」と位置づけると発表。これまで主流であった「国産ワイン」との区別を明確にした。というのも「国産ワイン」と呼ばれているものの中には、海外から輸入した濃縮果汁を水で薄め、砂糖を加えて発酵させたものも少なくないからだ。
日本にはワインの品質を規定する法律がなく、国内で瓶詰めされたものはすべて「国産ワイン」のラベリングで店頭に並んでいることが多い。そんな状況を変えるべく、多くの関係者がおいしい「日本ワイン」の普及に取り組んでいる。
都内でもいち早く「日本ワイン」の売場を設けている東急百貨店の和洋酒バイヤー・駒場さんによると、変化が訪れたのはおよそ10年前。「サントリーやメルシャンなどの大手が、手頃で高品質な“日本ワイン”に力を入れ始めたのがこの頃」だという。時期を同じくして、小規模の新興ワイナリーが次々と登場。醸造家同士の交流も盛んになり、日本ワイン全体を盛り上げようという機運が高まっている。「その頃に誕生したワイナリーの多くも、ぶどうの栽培や醸造の試行錯誤を経て、おいしいワインを届けてくれるようになりました」とのことだ。
同店での売れ筋は山梨の「グレイス甲州」シリーズ。日本の固有ぶどう品種「甲州」を使用したこのワインは「すっきり、キリッとしたドライなおいしさ」と駒場さん。他にも、フルーティーな「岩の原ワイン深雪花」、柑橘系のさわやかな香りとほのかな甘みが楽しめる「北海道ケルナー」などが人気だという。
長野県では、県をあげて「信州ワインバレー構想」に取り組み、“NAGANO WINE”のブランド化と若手育成のための「ワイン生産アカデミー」に力を入れている。また、新潟にあるワイナリー「カーブドッチ」の周辺では、創設者が「ワイナリー経営塾」を開講し、後進の育成にも力を入れているという(現在は募集終了)。
「たとえば新潟で『フェルミエ』を経営する本多さんは、大手証券会社から脱サラ後、この経営塾でワイン作りを一から学んだ一人。彼らの多くは本格志向で勉強熱心です。本多さんとは、この春、フランス・ブルゴーニュの視察でも同席しました」と駒場さん。そんな「フェルミエ」のイチオシは、深みのある赤ワイン「カベルネ・フラン」。繊細な日本料理と合わせてもおいしい一本だそうだ。
すっきりとした飲み口が特徴の日本ワインは、ワイン初心者にもおすすめ。価格も1000円台~と手頃に楽しめるのがうれしい。お気に入りの日本ワインを探してみてはいかがだろうか。
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