第1次オイルショックから今年で40年。若い世代には昭和史の一コマに過ぎないが、昨今、このオイルショックの再来を懸念する声が一部で上がっている。中東からの原油・天然ガス輸入航路(シーレーン)が危機にさらされているというのだ。
3.11以降、原発停止により日本のエネルギー供給は「火力頼み」が続く。燃料となる原油の8割超、天然ガスの2割超を中東に依存しており、不測の事態が起きれば深刻だ。
「オイルショック懸念」には2つの背景がある。1つめは、米国でシェールガスが産出され、米国にとって中東産原油・天然ガスの重要性が相対的に低下したこと。原油輸送の大動脈・ホルムズ海峡の防衛力を米国が削減する可能性も噂される。中東からのシーレーンは、米国が睨みをきかせていればこそ安全が確保されており、米国が手をひく素振りをみせれば不安定さは増す。イスラエルによるイラン原子力施設への攻撃も懸念され、ホルムズ海峡封鎖のリスクもはらむ。
2つめは、海洋における中国の覇権行為が活発化していること。これも日本にとってはシーレーンの脅威だ。原油・天然ガスの輸入が滞れば、「第3次オイルショック」が再来しないとは言い切れない。
もともと日本は、二度のオイルショックを経て、「脱・石油頼み」のエネルギー供給体制を追求してきた。国民生活を守るにはエネルギー供給の多様化が欠かせず、原発・天然ガスの推進にもそうした背景があった。しかし3.11を契機に原発が停止。40年前のオイルショック以降、順次停止してきた老朽石油火力と、LNG(天然ガス)火力に過度に依存する状態になっている。天然ガスは備蓄がきかないため、輸入が滞れば即座に悪影響を及ぼす。これは日本の「エネルギー安全保障 」上、大きなリスクといってよいだろう。果たして日本のエネルギー供給体制はこのままで大丈夫なのか?
(篠塚裕也)
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20131017-00032654-r25