受験目前の高校3年生をクライアントに持つ、コーチングのプロ、石川尚子氏。たいてい「最近、へこんでいる」という話からスタートするが、30分のセッション後は必ず前向きになるという。「やる気のツボは将来のビジョンを描くことにある」と言う石川氏に、話を聞いた。
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「理系なのに、数学が苦手なんです。勉強する気もわかなくて……」と、うまくいかないことを話している時の生徒は、とてもつらそうです。そこでわたしは、目先が変わるような質問をします。
「その学部を受けようと思ったのは、どういうきっかけ?」
「そこに入れたら、将来、何をしたい?」
「どんな大人になりたいの?」
すると話しているうちに、将来のビジョンが明確になっていきます。
「へえー! すばらしいね!」と、承認しながら聞きます。否定的なことは言いません。「志望校合格」のもっと先にあるビジョンについて話しているうちに、生徒はどんどんイキイキしてきます。そして、苦手な科目へのチャレンジも、「やりたい仕事に就くためだったらがんばれます!」と、はっきり答えるようになります。
わたしは、これこそがやる気の源泉のような気がします。目先の「できないこと」だけを見るのではなく、何のためにこれに取り組むのか、今やっていることの先にどんなすばらしい未来があるのかを描くことができたら、おのずとやる気がわいてくるのではないでしょうか。
「人生でどんなことを成し遂げたい?」
「どんな大人になっていたい?」
「一生のうちで、一度はやってみたいと思うことって何?」
ご家庭でも、そんなことを日頃から語り合える習慣が持てたら、子どもたちは、自然とビジョンを描けるようになると思います。「『やれ!』と言われるからやらないといけない」という狭い発想から、もっと視点を高く豊かに広げて、目の前の勉強に「夢」が持てる関わり方をしてあげてほしいと思います。
http://news.goo.ne.jp/article/benesse/life/benesse-9928.html