■腸内細菌が免疫力を強化?
子供のころに飲んだ経験のある人も多い「ヤクルト」などに含まれる乳酸菌に、乳がんの発症リスクを低減する効果が認められたことが分かった。日本女性の乳がん患者数は急増しており、身近な乳酸菌による発症抑制に向けたさらなる研究が期待される。
今回、効果が認められたのは、ヤクルトや飲むヨーグルト「ジョア」、ヨーグルト「ソフール」などに含まれる乳酸菌「ラクトバチルス カゼイ シロタ株」。
生命科学に関する研究などを行うパブリックヘルスリサーチセンター(東京都新宿区)がヤクルト本社の協力で、初期乳がん患者の40~55歳女性と、同年代で居住地域が似通った乳がん患者ではない女性の過去の食習慣を調べた。
この結果、シロタ株の摂取頻度が「週4回以上」と「週4回未満」で比較した場合、4回以上摂取した女性は乳がん発症リスクが35%低いことが分かった。
直接的な作用はまだ解明されていないが、ヤクルト本社中央研究所食品研究部の狩野光芳主任研究員は「良い腸内フローラ(腸内細菌の群集)を形成し、免疫力を高めることで、乳がんの予防につながるのではないか」としている。
乳酸菌には多くの種類があるが、一般的なヨーグルトなどのさまざまな乳酸菌を含むすべての商品で比較しても有意差は認められなかった。シロタ株を習慣的に摂取することが、乳がん対策に役立つ可能性がある。
狩野氏は「腸内フローラの形成に影響する子供のころに継続して摂取することが望ましいが、大人になってからでも決して遅くはない」と話す。今後も、国内外で研究を進めていくという。
乳がんは日本人女性の約15人に1人がかかるといわれ、女性のがん死亡原因の1位となっている。増加要因には、食習慣の関わりが大きいことが指摘されている。(金谷かおり)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/131011/bdy13101108240000-n1.htm