今回の相談者は「もう少しハイペースでお金を貯めたい」という、ひーさん(仮名・25歳)。花輪さんからのアドバイスは「お財布の中身を整理整頓してみましょう」というものでした。“なんとなく”で入れっぱなしになっていたポイントカードやレシートなどを片づけるとスッキリ。お金の流れが把握しやすくなります。さて、気になる次のステップは?(取材・文/島影真奈美)
編集部 財布の中身を整理整頓したら、次はどんなことに気をつければいいのでしょう?
花輪陽子(以下、花輪) 「必要に応じてちょこちょこお金をおろす」という生活から卒業してみましょうか。「月に1回、毎月○日におろす」などと、頻度と日にちを決めて、決まったタイミングでまとめてお金をおろします。手元にお金がなくなるたびにおろしていると、結局自分がいくら使ったのか、わからなくなってしまうんです。
編集部 生活費を引き出す日を決めておけば、余分な時間外手数料も払わずにすみそうですね。ただ、「現金をたくさん持っていると、無駄遣いしてしまいそう……」と不安に思う人も少なくないようです。
花輪 使ってもいいぶん以外のお札は折り畳んで財布に隠すなど、工夫してみるといいですよ。主婦の方だと1週間ぶんだけ財布に入れ、残りは予算ごとに袋わけ管理しているケースも多いです。
編集部 なるほど! 見えないようにすることで、うっかり出費が避けられるんですね。
花輪 それでも不安なようであれば、1~2週間に1回引き出すスタイルでも構いません。最低1週間の生活費を現金で持っておけば、思いがけない震災や事故などで、ATMやクレジットカードが使えなくなるといった非常事態の備えにもなります。
編集部 「財布の中身がなくなったらお金をおろす」「持ち合わせがないときにクレジットカードを使う」という生活をしていると、いざというときに困る可能性があるわけですね。
花輪 そうなんです。しかも、「現金がないときにクレジットカード払い」は使いすぎを誘発するので、お金が貯まらない原因にもなりやすいです。米国の研究で、クレジットカードを持っているだけで、23%近く余計にお金を使ってしまうという結果も出ているとか。
編集部 それはこわいですね……。
花輪 クレジットカードは“別枠”という感覚になってしまい、予算オーバーしがちなのも要注意です。たとえば、ひーさんの今月のクレジットカード支払額は約5万円。そのうち、4万2,000円は洋服代だとか。シーズンごとの買い物で予算を立ててある場合は問題ないのですが、毎月同じぐらい使っているとしたら、予算を見直す必要があります。
編集部 女性から「クレジットカードはポイントが貯まるので使っている」という声をよく耳にします。無駄遣いを避けつつ、効率よくポイントを貯める秘訣があれば教えてください。
花輪 原則はなるべく1枚のカードにポイントをまとめて貯めることです。ポイントカードは100円で1ポイント貯まるのが一般的。つまり、10万円買ってようやく1,000円相当のポイントが貯まるんです。当たり前ですが、複数のカードを同時に使っていると、それだけポイントが貯まるのにも時間がかかりますよね。
編集部 意識していませんでしたが、確かにそうですね……! ちなみに、花輪さんオススメのカードはありますか?
花輪 「Tカード」や「Pontaカード」など、提携店が豊富なカードを選ぶとポイントを貯めやすくなります。たとえば、Tカードの場合はTSUTAYAやファミリーマートのほかにもYahoo! ショッピング、エクセルシオール カフェ、ドトールコーヒーショップなどでもポイントを貯めたり使ったりできます。一方、Pontaカードはローソンやローソンストア100、紀伊國屋書店、ワタミ、ビックカメラなどと提携しています。どちらもクレジット機能をつけずに、ポイントカードとして使うこともできます。
編集部 普段のちょっとした買い物のときもポイントが貯めていけるのもうれしいですね。
花輪 ただ、「オトクそうだから」という理由で余計な出費をしてしまうと、やはり、お金が貯まりづらくなるので気をつけて。目先のオトクに「ホントに必要?」と自問自答するクセをつけましょう。
つい買いすぎてしまうものは、あえて現金払いに
便利な反面、お金を使いたい気持ちを刺激してしまうこともあるクレジットカード。お金の流れを把握しないままに使っていると、思わぬ浪費の原因にも。お金の管理が苦手だけれどクレジットカードのポイントを貯めたいという人にオススメなのは公共料金のカード払い。“絶対払わなくてはいけない支出”はクレジットカードで支払い、洋服やコスメなど、つい買いすぎてしまうものは、あえて現金払いにすれば、無駄遣いが防げます。(花輪陽子)