クジラの肉に含まれる成分「バレニン」に、ヒトの疲労を軽減する効果があることを、日本鯨類研究所などが臨床試験によって初めて確認した。もともと鯨肉は健康な体を保持する成分が多く含まれることで知られるが、今回の研究によって、鯨肉が改めて見直されることになりそうだ。
バレニンはイミダゾールジペプチドと呼ばれる抗疲労成分の一種。日本鯨類研究所・環境化学研究室の安永玄太室長らの研究グループは、バレニンを含んだ鯨肉抽出物を摂取した男女と、摂取していない男女合わせて12人の疲労状態を調べ、比較した。
疲労とは過度に体を動かすことで活性酸素が大量発生し、これに細胞が傷つけられ、その機能が低下したと脳にシグナルを送っている状態とされる。臨床試験結果をみると、バレニン摂取グループは、疲労による副交感神経機能の低下が抑えられ、疲労感が改善するという明らかな差異が認められた。
とくに注目されるのは、副交感神経機能の低下抑制にみられるように、バレニンがヒトの自律神経にも効果を及ぼしている点だ。体が疲れると自律神経機能も変化するが、これと密接に関係し、血流状態を示す加速度脈波の解析によって、バレニンに自律神経機能を正常に維持する働きがあることも、今回の臨床試験で初めて明らかにした形だ。バレニンには、同じ疲労軽減成分のアンセリンやカルノシンなどを上回る、自律神経系の調整効果が期待できそうだ。
機能性食品に詳しい東京海洋大学の矢澤一良特任教授は「抗疲労食品成分は結構知られていたが、臨床試験で効果を実証した点で大きな意義がある」と話している。(武田範夫)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130920/bdy13092008360001-n1.htm
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