大学のAO入試、推薦入試の合格発表が本格化する。合格したら、多くは2~3週間以内に入学金など数十万円を納付しなければならない。経済的な理由で進学を諦めずにすむよう、さまざまな方法を検討したい。
『子どもを大学に行かせるお金の話』(主婦の友社)などの著書があり、「奨学金なるほど相談所」(大阪市中央区)代表の久米忠史さんのもとには進学費用などに関する相談が年間約1千件寄せられる。約3割は入学前。「都市部の大学に行かせると費用がかさむ地方では、より深刻。学校などから情報が十分に行き渡っていないのが実情だ」という。
◆国、農協、労金も
日本政策金融公庫が取り扱う国の教育ローン(教育一般貸付)には子供の人数に応じて世帯年収(所得)に上限があるが、いつでも申し込むことができる。申し込みから最短5日以内に融資の可否が回答される。農協や労働金庫の教育ローンも利率は比較的低く、国の教育ローンよりも有利なところもある。
久米さんは「入学説明会などで、学校が提携している信販系の教育ローンのパンフレットなどが配られることがある。学校提携だからといって、利率が有利とはかぎらないので注意してほしい」と話す。
◆奨学金には増額貸与
代表的な日本学生支援機構の奨学金には、初年度納入金負担に対応した「入学時特別増額貸与(10万~50万円)」がある。ただ、支給は4月以降で、入学金などの納付期限には間に合わない可能性が高い。
労働金庫の増額貸与奨学金の採用候補者向けの「入学時必要資金融資」は、増額奨学金の範囲内で融資を行う。融資は進学先に直接振り込み、奨学金初回振込時に一括返済する仕組みだ(同機構からの通知によって国の教育ローンの申し込みが必要)。
全国労働金庫協会によると、今年4月現在で5346件の利用があり、利用者は年々増えているという。
進学先の学校でも入学金や授業料の納付期限延長や分割払いに対応する場合もあるので、担当窓口に相談してみるのもいい。
◆重複して利用できる
基本的に教育ローンは保護者、奨学金は生徒が契約者で、重複して利用できる。いずれの場合も親子で家計や教育資金について話し合っておくことが大切だ。久米さんは「親の時代とは状況が違う。学費は上がり、学資保険でも賄えないことがある」と指摘する。
ローンはもちろん、奨学金も返済しなければならないものが大半。繰り上げ返済するつもりで在学中も貯蓄を心掛けたい。「中退はもちろん、卒業後に別の学校に入り直すのも負担は小さくない。進路をよく考えたうえで、情報収集も含め、教育資金の準備は早めに動くよう心掛けて」とアドバイスしている。
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